「じゃあ、また後でな!」
「うん!帰りね〜」
そう言って、ゆめは4組と書いてある教室に入る。
ゆめの不安そうな顔。
なんだかんだ今までクラス離れたことがなかった。
俺も心配。
「えっと、なんて呼んだらいいかな」
「あっあぁ、舜でいいよ」
「じゃあ舜くん!」
「っおう!俺はなんて呼べばいい?」
「ん〜呼びやすいのでいいよ」
そう言って微笑む比野まりかは綺麗だ。
なんだか、ゆめに気がひける。
…なんで気が引けてんだ。
「じゃあ今はとりあえず比野で!」
「うん!舜くんよろしくね!」
「ん。よろしく!」
そう言って俺たちは5組とかいた教室に入る。
比野とはまさかの隣の席で。
俺も比野も友達ができた。
『じゃあ気をつけて帰れよー!さよーならー!』
先生の言葉で合図のようにみんな教室から出て行く。
ガヤガヤしてた教室はシーンと静かになる。
「舜くん、ゆーちゃん迎えに行くの?」
「隣の家だしな。」
「幼なじみなの!?いいねー!仲良くて!」
「そうか?」
「うん!私もいたけど仲良くないからな〜。」
「まあそーゆーもんだよな。」
「黒田航平っていうの。舜くん並みにイケメンなの。でも無愛想!」
「ははっ、男なんて愛想ふりまかねーよ?」
「そーゆーもんなの!?」
そう言って笑いあう俺と比野。
なんか楽しいなー。
「ねえ!なんでついてくるの!」
「はあっ!?誰かついてくんだよ!チンチクリン!」
「なっ!足踏んだことそんなに根に持ってるの!?ちっちゃい男の子ー!!」
「男の子じゃねえ。お・と・こ!」
「ふん!」
「ぜってーお前のいう舜ちゃんとかいうやつに見せてお前に謝らせる」
「なっ!?舜には言わないでよ!!」
ゆめの声が聞こえてくる。
それと同時に男の声。
…廊下は響くから丸聞こえ。
あほか、ゆめ。
「何組にいんだよ?」
「言いません〜!」
「お前っ…とことんうざいな!」
「なっ…ひどい!5組だよ!5組!教えないくらいでうざいとか!」
「結局いうんじゃねえかよ!最初から言っとけよって…5組?」
ゆめの半泣きの声。
さすがにうざいとか、ひどいぞ。
誰だよ、ゆめ泣かせるやつは。
「航平。」
「っげ。…まりか。」
「まりかー!!!」
“航平”…ん?黒田航平!?
同じ学校なのかよ!!
聞いてない聞いてない。
…てか、とりあえずゆめは泣かせんな。

