ポロポロ涙が落ちてアスファルトを濡らしていく。
「舜…」
「んー?」
「舜はあたしが泣いたらすぐぎゅーってしてくれるよね」
「ははっ…なんでかしらないんだ?」
「えっ…うん…」
「ゆめは俺が抱きしめるとすぐ泣き止むから。」
「っ…なに、それ…」
「だって、ほら。現にいま泣き止んでるだろ?」
「舜は…ばかなんじゃないのっ…」
「なんでまた泣きそうなんだよ〜」
困ったようにはにかむ舜も好きだと思う。
舜は昔からあたしを泣き止ます方法を知っていたんだね。
今でもなにも舜は変わらない。
なのにあたしはこんなにも不安になって舜から離れたいと思った。
今でも離れたいって思ってる。
この気持ちを諦めてしまいたいから。
もう、舜のことを思って泣きたくないから。
「舜…あたしね…」
「ゆめ、俺はゆめが何を言ったって受け入れる気でいたよ」
「う、うん…」
「でも、俺お前とは離れないから」
「えっ……?」
「ゆめがそういったお願いしてきても俺は受け入れない。」
「っ…まりかがいるのに…舜は欲張りなんじゃないの…?!」
「なんて言われたって俺は変えないよ。俺の中でゆめがいなくなることが1番嫌なことだって気づいたから」
おでこをコツンとくっつけて言う舜。
近い…ドキドキしてるこの胸の音は気づかれてないかな?
大丈夫かな?…ねぇ、舜はドキドキしてる?
あたしだって、舜から離れたいと思ったとしても離れられない。
「…ゆめ、顔真っ赤。」
「うるさいっ…近いんだもん、仕方ないじゃない…」
「……なぁ、ゆめ」
「なに?」
「キス、したい。」
「…えっ?はっ?!」
「していい?」
「していいじゃなっ…んっ!」
あたしの唇に舜の唇が重なる。
ファーストキスは舜だ。
好きな人と出来たからすごく嬉しいよ。
ーーーーでもとっても悲しいつらい。
その理由はわかってる。
同じ思いじゃないからだ。

