「…っ…ごめん、ごめん…」
「舜、謝ってもあたしの気持ちは変わらないよ」
「なんでだよなぁ…なんで1つしか守っちゃいけねぇんだよ…?」
「まりかの気持ちを考えて。…あたしだったら嫌だよ」
「……っ…くそ…」
「好きな人が他の女の子といるなんて耐えられない。辛くて…辛くておかしくなっちゃうよ…」
「ゆ、め…?」
頬を伝ったのは涙じゃない、汗だ。
大丈夫、言い訳できる。
笑えるよ、あたしはまだ。
君にこの想いがバレないようにあたしはウソをつくよ。
君にもう何度ついたかわからない、ウソ。
素直になれたら、どれだけ楽だろう。
「ゆめ、泣いてる…?」
「汗だよ、暑いんだもん。」
「汗じゃないだろ、それ。目から…」
「あれっほんとだ…さっきからゴミ入ってたからかなぁ?」
「さっきから?」
「なんかさっ舜と一応シリアス?的な話ししてるもん目なんてかけないでしょ?」
「…目ぐらいかいたって別に」
「ごめんね。でも泣いたわけじゃないよ?だから気にしないで」
「っわかった…」
強めに言った“気にしないで”の意味を舜はわかってくれたかな?
きっと、わかってくれたよね。
あたしはもう変わらないと。
だからもう、舜はまりかのことだけを見てあげて。
あたしのことなんて気にしちゃだめ。
「…じゃあ、な…ゆめ」
「ばいばい、舜。」
君の名前を呼ぶのも、君と話すのも、君と笑い合うのも……
全部全部、今日で最後にしよう。
君のことは全部思い出にするよ。
舜を好きだったことはもう、過去なの。

