「なんで…いつからお前は遠くなったんだよ、ゆめ」

「……元々遠いんだよっ…いつも先にいるのは、舜だった…」

「先ってなんだよ…隣にいただろ…」

「一歩先に…いつも舜がいる…」












ポツリポツリと話すゆめ。

近くに、隣にいたと思ってたのは俺の思い込みだったのかよ?

誰よりもゆめの側に居てきたのは俺じゃないのかよ。











「いつも追いかけて、追いつきたくて…舜をおってきたの…」

「俺だって追いかけてた。」

「違う…違うの…舜。そういう事じゃない…違うの」

「じゃあなんだって言うんだよ、わかんねぇよ…」

「もう疲れた…疲れたよ、舜。追いかけるの、疲れた」

「…俺から離れたいって事?」















バカな俺でも、わかったよ。

離れたいんだろ?…俺から。

いつだって一緒にいた俺から離れたいとゆめは願うんだろ。


ーーーーそんなの、無理だけど。










「………」

「質問に答えないってことは、離れたいんだ。」

「違う。…答えられないの。」

「っ…!」










いっぱい涙をためてる瞳。

そんな瞳に不覚にも、ドキッと胸は高鳴って。

ーーーでも、イラついて。


この顔、他の奴にもすんのかよって。


俺だけが知ってる顔じゃなくなるのかよって。

それとも…もう見せた奴いんの?って。










「…あたし、素直じゃなくて可愛くなくてごめん。」

「ゆめ…?」

「でもね、舜。…あたし、舜の事は誰よりも見てきたつもりだよ。」









そういって切なく微笑むゆめ。


そんなゆめは俺が知る女の中で1番綺麗だ。










「だからね、悪いところだって知ってる。でもそのぶん、良いところもたっくさん知ってるよ。」

「……ん。」

「照れてるでしょ?舜は照れると耳を触るんだよ?」









クスッと笑うゆめ。


ーーーあぁ、なんだ、俺。


ゆめは、女じゃねぇか。

いつの間にこんな成長した?


俺の中でゆめは今まで、妹みたいな奴だった。


お前は、女になってた。
















「……だからね、舜。きっと、上手くいくよ。」












この“上手くいくよ”は、まりかとのこと。

俺の気持ちーーー…恋、か。






なんでこんな複雑なんだろ、喜べないんだろ。