「すき…かもしんねぇ…わかんないけど」
「…そっかぁ。まりか綺麗だもんねぇ、あれは好きになっちゃうよ」
「…なんで」
「なーにー?」
「なんでゆめは…苦しそうな顔すんの。いつもだよ最近。」
俺だけが変わったような言い方するけど、ゆめだって変わったじゃないか。
俺といるといつも辛そうな顔をする。
最近はずっと…浮かない顔して、笑ったと思えば作り笑顔で。
本当の笑顔を見せてくれないじゃないか。
なんでだよ、なぁ。…何したっていうんだよ。
「そんな顔…してたかなぁ」
「してたよ。今もしてるよ。なぁ、なんで?なにがゆめを…」
「航平いがいに…なかなか友達作れない、からかなぁ?わかんないや」
「ほら。また、無理して笑う」
「っ……」
「俺は嫌なんだよ。ゆめのそーゆー顔見んのは。…俺も痛くなんだよ」
「…しょ…!」
「え?」
聞き取れなかった。
下を向いてた顔を一気にあげて、涙をためた瞳でキッと俺を睨む。
そんな顔は初めて見て。
本当は怖がるっていうかビビらないといけないのかもしれない。
だけど俺は、綺麗だと思ったんだ。
ーーードキッとしたんだ。
「幼なじみだからでしょ…!!」
「……?」
「幼なじみだから心配なだけでしょ!幼なじみじゃなきゃ、どうとも思わないくせに…」
「幼なじみだから心配して何が悪いんだよ!幼なじみだから気づくことだってあるだろ?!」
「うん、そーだね。でも、幼なじみなんて結局赤の他人!幼なじみだって友達と変わらない。…むしろ友達以下」
「っ……んだよ、ゆめがわかんねぇ…お前のことがわかんねぇよ!!」
「わかんないよ、絶対ね!!舜にあたしの考えてることも思ってることもわかるはずがない!」
涙が頬を伝っているのも気づいてないんだろうな、ゆめは。
綺麗にツーッと頬を伝う涙は綺麗で。
やっぱりゆめに見惚れてしまう。…泣いてるゆめに。
そんな俺はなんてバカで酷いやつなんだろう。

