「航平!ごめんね、ちょっと話し合いしてて!」
「ゆめ……」
「ほらっ、出しに行かなくちゃねぇ〜!やぁ〜緊張するなぁ大丈夫かなぁ」
「なぁ、ゆめ。」
「なに〜?あっ、まだ女バスにしてるんじゃないかと思ってる?!してないよ〜」
喋ってないと涙が出てきそう。
泣いてしまいそうなの。
あぁ、あたしはもう戻れない。
ーーーー舜の元へは戻れないんだ。
「もう、いいよゆめ。…泣いて、いい」
「こ…っへい……?」
そんな事言わないで。
そんな優しくしないで。
止められなくなっちゃうから。
どうして…航平は気づいちゃうかなぁ。
「うぅっ…ぁ…うわぁぁん…」
「…ゆめ、お前は溜め込み過ぎだ」
「もうぅ…航平はっ…優しすぎだよぉ…」
「夢が泣く度に俺がいるから。…1人にはしないから」
その言葉を皮切りにあたしはわんわん声を上げて泣いた。
泣いて泣いて、もう一生泣くことはないんじゃないってくらいあたし泣いた。
「そんな顔じゃ出しに行けないだろ?」
「えっ、そんな腫れてる?!」
「結構腫れてるし泣いたのわかるよ」
「航平出しといてくださいっ」
「しゃーねぇな〜。今日はゆっくり休めよ?」
「うん。ありがとう!」
今日は帰ろう、ゆっくり帰ろう。
目は冷やさなきゃなぁ、航平にはお世話になりっぱなしだなぁ。
クッキーでも作ってあげようかな〜。
そう考えながら下駄箱に向かってる時だった。
「…ゆめ」
「っ…しゅ、ん…」
なんでそこに舜がいるの。
いつからいたの。
もしかしてあたしをずっと待ってた?…いや、そんなことないよね。
まって、泣いたってバレるんじゃない?
あぁ…なんでトイレによって鏡でチェックしなかったんだろう。
何してるんだろ…こんなことまりかはしないんだよね…
比べたって仕方ないのに……。

