母が一歩、歩き出したとたん、ぎりぎりの信号無視をかました車が、母の目の前を通りすぎた。 「あぶな」 とっさに母の腕を引いて、わたしの後方へと追いやる。 そのとき自然につないだ手が思いのほか小さくて、わたしは幼かったあの頃に思いを馳せた。