ペラリ、ペラリ。



 その場に響くのは、麗しの人魚姫がページをめくっていくペラリペラリという音。

 そして、下の海底キチク城から上って来る、ポコポコという空気のリズムだけ。



 ペラリ、ペラリ。



 ページをくり、本の上で目を縦横無尽に走らせて。

 アイネイアスは今日も、物語の世界へと旅をする。



(080813)