コウちゃんの家から二駅離れた場所に私の新居がある。

荷物が全て運び終わり私の部屋だった場所には何もなくなった。

封筒をポストに入れてマンションをでる。


これは逃げなのだろう。
それでも今の私にはこれ以上のことは思い浮かばなかった。



しばらく経って新しい職場にも慣れた。

私はコウちゃんに会わないようにするため職場も変えていた。
勿論、周りには口止めをしている。




朝、仕事が終わり家に帰ると部屋の前に人がいた。

『ケンイチさん…?』
近づいて行ってやっと誰だかわかった。

「アキちゃん!!やっと会えた…」
切羽詰まった顔をしているのは気のせいだろうか?

『どうしてここが?』
周りの人には口止めしていたので来れるわけないと思っていた。

「申し訳ないけど尾行させてもらった。アキちゃんを知ってる奴らは俺たちだけじゃないからさ…でも、本当にごめん」
言って頭を下げるケンイチさんは普通じゃなかった。

『何かあったんですか?』
ケンイチさんの雰囲気が普通じゃないことに焦りを感じた私は聞いた。

「コウが…」
言った瞬間、やっぱりと思い体はコウちゃんの家に向かって動き出してた。