俺もそんな風になりたかった。
でも、これが現実。これが真実。
学校に来たはいいけど、授業の内容なんて覚えていなかった。
気づいたら放課後。
「大和ー。帰ろーぜ」
「……おう」
荷物なんて鞄と少しの教材だけ。
でも、ほとんど使っていない。可哀想な教科書たち。使ってあげたいけど、勉強なんてやっても意味がないと思う。
「おい、何やってんだよ!早く行こーぜ」
「待てよ。今行くから」
零にそう言われ今まで手を動かしていると思っていたけど実は、少しも動いていなかった。なので、今から鞄に荷物を積めることになる。零が待っているので綺麗には入れられなかったけどまぁいい。
可哀想な教科書たち。
零と帰り道を歩いていると、前から髪を高い位置で結んでいる。いわゆるポニーテールってやつだ。
その長い髪を揺らしながら歩いてくる彼女。
なぜかその顔に惹き付けられた。

