俺の愛した人




「おーい。大和ー?生きてるかー?」

「はっ!」


「はっ!って、漫画かよ」

俺はぼーっとしていたみたいだ。
正確に言えば考え込んでいた。

「悪いな。なにか話してたか?」

「いや。特に話してないけど大和がしょんぼりしてたから...」


しょんぼりしてた?俺が?

なににだ!?


「しょんぼりなんてしてないしー。考えてたんだもーん」


明るめに言ってやった。
そしたら、

「明るいお前きもい」

だって

いつもが明るくないからってきもいはなくないか?
まぁそんなことは置いといて、もうすぐ俺の家だ。
7時間ぶりの我が家。
ちょっとでも離れると寂しいな。


とかとか思ったりする。



あの角を曲がれば俺の家。




あと15メートル。




あと10メートル。




あと5メートル。




あと1メートル。


...。
なんで俺は家までの距離を測ってんだ?
早く帰りたいのか?

零がかわいそうじゃんか。


「じゃあな」

「明日も迎えに来るからな!待ってろよ!」

「あーはいはい。じゃあな」

「絶対起きてろよ!じゃあな!また明日!」


俺は玄関の前まで行って振り返り零に手を振る。
それに応えた零は、怒ったような顔をしながら手を振っていた。

「怒ってるのか、手振ってるのかはっきりしろ!」

「どっちもだ!」

「またな」

俺がそう言うと零は睨みながら背を向け自分の家に帰っていった。