車の急ブレーキの音が聞こえてから数秒。
俺たち家族の乗ったタクシーを巻きこんで事故を起こした。
事故を起こした車は俺たちの乗っているタクシーにぶつかり、タクシーは回転しながら電柱にぶつかった。
そして、事故を起こした車は俺たちにぶつかったあとも少し走り続け止まった。
幸い、その車は大きな破損はなかった。
俺は後部座席に左から父さん、俺、母さんの並びで座っていた。なぜ並んで座っているかと言うと、よくわからない。
電柱にぶつかり、少しだけ意識があった俺は左右に座っている父さんと母さんを交互にゆっくり首を動かしながら見た。
父さんと母さんを見た瞬間、少しの間驚きで動けなかった。
俺が見たのは、俺を庇うように父さんと母さんが俺を包み込んでいたからだった。
「と、父さん………母さん……」
呼び掛けても二人はピクリともしない。
運転手さんを見るけど、車のハンドルにもたれかかっていて呼吸をしてるようには見えなかった。
それから数秒後俺は意識を失った。