その彼女が通りすぎるまでじっと見ていた俺は視線を感じた。

その視線は、零の物だった。


「なんだ?あの子が気になるのか?」

「いや……そんなことは……………」

気になっているのか。彼女が。
何なんだこの気持ちは…………。


「気になるのか。大和!」

「いや、そんなこと言ってないだろ?」

「だってお前あのこの子とじっと見ていたじゃないか」

「それは……………」

「青春だねぇ」

「おじさんみたいだぞ」

「まだピチピチの中学生ですよー。それに俺がおじさんだったら大和もおじさんじゃないか」

「確かに……」

それからしばらく沈黙が続いた。

話を始めたのは俺の家付近に来てからだった。


「大和!ちゃんと高校のこと考えておくんだぞ!!メールするからな!!!」

「おう………一応」

「一応じゃなくて!ちゃんと考えておくんだぞ!!」


最後の方は小さめで言ったのに、零のやつそうとう耳いいな。