深い藍色のスカートが春の風に揺れた。

目と目が合ったとき、その瞳はとても素直に笑った。

今まであたりまえにそばにいた存在がそのとき、この世界では儚いものに思えて、わたしの心は佐倉の手によってぎゅっとつかまれた気がした。

佐倉を蝕む病はわたしに感染する。

わたしたちは今日を堺にはじまり、終わる。

そんな日に咲く花。

花吹雪がわたしたちを取り巻いたとき、そこにわたしの影だけが残った。





おわり