リリッター

リリッター、その存在がこの世界で許されることはあり得ないと、彼〈かいどう〉は言っていた

その時、私はやっと知れることができたんだ。
彼〈かいどう〉は自分の存在を許していないと


リリッター
第7話 2人目の犠牲者

「…で、あるからにして~リリッターと人間の心理的な違いは~」

私は、リリッター心理学の授業を受けていた。
「リリッターは~、異常なほどの身体能力を持っているが故に、人間を見下す傾向にあり簡単にその命を奪うことができるという、非常に残虐で残酷な精神を持っている~
それが、我々人間がリリッターを地球有害生命体と断定した、理由のひとつである~」

残虐で残酷?
何を言っているのだろう
本当に呆れてしまう

残虐で残酷なのは人間のほうじゃないか

私はそんなことを悶々と考えながら、授業を受けた
キーンコーン
チャイムが鳴る
「か、嘉山さん、、、っ」
「…
…何?遠野さん」
「あ、あのさ、、よかったら一緒に帰らない??…っ!!」
「…嫌よ。断るわ。
あなたは、私を殺そうとしてる
私にとって私はあなたも排除対象。
そんな人と一緒に仲良く帰ることなんて出来ないわ」
「…っ!ちっ、違うよ!私は嘉山さんを殺したいなんて思ってないよ‼」
「…あなた、、」
この女はアホなのか私はそう思った
「……あなたってアホなの??」
あ、言ってしまった
「まぁ、いいわ。
そこまで言うなら。仕方ないわね
一緒に帰ろう、、」
「…!ほんとっ?ありがとう!!」
彼女は嬉しそうな顔をしている
遠野サエナ
ルックスは普通、眼鏡をかけている女子生徒
成績は詳しくは知らないが、悪くもなくとびきり良いわけでもない、中の上くらいであろう
比較的性格は大人しく、1人でいることが多いクラスに必ずいる、目立たない同級生って奴である。

そんな彼女が突然、一緒に帰ろうなどいったい何を企んでいるのだか、、、

「…それで、何故遠野さんは私に帰ろうと誘ったの?」
「…それは、、」
「…何?やっぱり何か企んでるの?」
「ち、違うよ!!私ずっと嘉山さんに、、憧れてて」
「…え?」
憧れ、、?私に、、?
「…嘉山さんって美人で頭よくて、クールで、他人に流されないでしょ?
だからね、、私そういうところかっこいいなぁーって思ってて」
「…私、、、カッコ悪いよ、、」
「…え、、?」
「…あ、、な、何でもない、、ごめん、、」

「嘉山さん、、、」
「何?」
「…私、、嘉山さんと友だちになりたい!!」
「え、、」
「…ダメかな、、」
「…う、、、仕方ないわね、、
特別になってあげるわよ!!」
「ほんとっ?やったぁ!ありがとう!」
「変な子ね、、」

本当に変わった子だ
私はリリッターだというのに、友だちになりたいだなんて

「ねぇ、さっき…」
「ん?」
「…さっき何でカッコ悪いって言ったの?」
「…それは、、、、」

何故だろう
自分でも分からない
自分で自分がカッコ悪いと思える明確な理由が、、、

「…分からない、、、何でだろ、、」
「嘉山さん、、、」
「…ごめん、、」
「…分からないんだったら、嘉山さんはかっこいいってことにしようよ‼
だって私は嘉山さんのことかっこいいって思ってるからさ!!」

「…」
どういう理屈だよ
私はそう思った
だけど

「…名前、、、
まこでいいよ、、、
サエナ、、、」
「…!」
何だか救われた気がした

「うん!まこ!!」

それから私とサエナは毎日一緒に帰るようになった
私は楽しかった
楽しくてつい忘れてしまっていたんだ

私がリリッターだということに

「まこー!」
「ん?何?」
「今日さー、、帰りに××駅で遊ぼうよ!!帰り!!」
「うん!そうだね!いいよ、」
「やったぁ!!あ、私ちょっとトイレに行ってくる」
「行ってらっしゃいー笑」
サエナは、教室を出てトイレに向かった

「…お前って、最近遠野と仲良いな」
「…?!
迫くん、、、、
…そうだけど?悪い?」
「…別に」
「…そ、そう、ならいいんだけど」
何なんだこの男は
無性にムカついてきた

「…あ、、、」
「…え?、、」

ふわっ何だかそんな音が聞こえた気がした
気がついたら、迫海道の指先が私の髪に絡んでいた

「…頭にゴミのっかてた」
「…な、、、、、」
何だろう、急に動機がしてきた
「あ、、ありがとう」
顔も何故か熱い
「…うん」
ああ、、
これじゃ私、、まるで、、
迫海道〈カレ〉に恋をしているみたいじゃないか

「…迫くんは、、、」
「ん、、?」
「迫くんは、どうして、、私を殺したいの?」
「え、、、それは、、、」
『それは、、?、、、』
「?!ふみの、、、?!」
「え、、?」
『あたしが変わってあげるよ、迫』
「…なっ?!!」
「さ、迫くん、、?ふみの、。って」
『迫がまこを殺せるわけないじゃん。』
「や、やめ、、、ふみの、、っ!」
『あたしならできる、だってあたしは』
「嘉山まこが憎いから、、!!」
「…?!迫くん、、?」
「まこ、、、お前は馬鹿だ、、いいや、迫もだ!
愛する人に殺される道を選び、愛する人を殺す道を歩こうとしている」
「…え、、?あなたは迫くん、、、な、の?」
「…迫、、?今目の前にいる、迫がまこには迫に見える?」
「…ふ、、ふみの、、渡、、ふみの…」
「思い出しなよ、、、まこ、、、」
「…わ、分からない、分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない知らない知らない知らない知らない」
「…?まこ、、?」
「知らない知らない知らない知らない知らない知らない知らない知らない知らない…

渡、、渡文乃なんて、、、知らないっ!!」

「、、?!何??まこ、、アンタ、、最初から、、」
「渡文乃なんて存在知らない!!!
今私の目の前にいる迫海道は迫海道だ!!!」
ガッー、、思いきり首を締めた

「あ、、が、、まこ、、、、、っ」
「目を覚ませ!!迫海道!!!お前は!!あんたは!!!!!!海道は!!!

渡文乃、、

という名の下等生物じゃないだろう、、、!!!」


「、、、
ちっ、、、ここ、、、、」

「…ハァハァ、、、いらない
ふみのなんて、ふみのなんて、海道には必要ない」

ガッー、誰かが腕をつかむ

「…おい、、落ち着けよ、嘉山、、」
「…きさら、、づ、、くん、、」
「迫は気を失っている。もうやめろ、
あと、、、目。赤いぞ?教師に見つかる前に元に戻しとけ」
「!?、、
あ、、、う、、」

気がついたらクラス中の注目の的になっていた
私はその空気に耐えられず、逃げるように教室を出た。

「…?!おい、嘉山!!」
「ほっとけ、入見。」
「木更津?!しかし!!」
「…嘉山の殺害は、迫の命令なしにしてはダメだろう?とりあえず俺は迫を保健室に運んで来るから、お前らは騒ぎが大きくならないように、してくれ」
「…ち、、分かったよ!迫は頼んだぞ」
「…おう、、任せとけ、、」


「…ハァハァ、ハァハァ、、、私、私、、」
「まこ、、?」
「…!サエナ、、っ?!」
「どうしたの息切れすごいけど、、、」
「サエナぁ~、、」
「ちょ、ちょっとどうしたの?突然泣き出して、、」
「ごめん、、ごめん、、何でもないの、、
だけど、今は許して、、クズン、、」
「まこ、、」


『迫は、、好きな人とかいるの?』
『なんだよ、、突然、、文乃、』
『恋ばなだよ!こ・い・ば・な!!
女子は恋ばなが好きなんだよー』
『お、おお、そうか、、はは』
『で?どうなのー?』
『…え?、、そ、それは、、』
『何?なんか顔が赤いぞ?いるんだな好きな子が!!誰なんだ、白状せぇーい!!』
『な、、ちょ、、……だよ、、』
『え?何?聞こえないよ!!!』
『××だよ!!!』
『あ、、、え、、そっかそうだったんだ、、、知らなかった!!あたしは××と迫お似合いだと思うよ!!』
『そういう、お前はどうなんだ?』
『え?あたし?あたしは好きな人なんていないよ!!』

『かいどう、、、あなたはわたしのことが許せる?』
『…俺は、、××と同じ場所にいるから許すとかそんなこと決める権利ないよ、』
『ふーん、、、』

「……、、」
「…目が覚めたか、、」
「木更津、、?ここは、」
「…保健室!」
「…保健室、、、ああそうか、、俺、、」
「んあ?覚えてんのか、じゃあいちいち説明する必要もねぇな」
「…教室に戻るよ、、」
「…さっき目が覚めたばかりなのに、、大丈夫なのか?」
「うん…」
「……そうか、、、」

「…まこ、、、今日さやっぱ私の家に来ない?」
「え?、、どうして、、?」
「…なんかまこ、落ち込んでるから、、
私の手料理でもごちそうしてやろうかと思って笑」
「サエナの手料理?!食べたい!!」
「ふふふ」
サエナは料理が上手い
いやそれだけではなく、器用だから、なんでもほいほいできてしまうタイプなのだろう。

「…教室戻ろっか、、」
「あ、、う、うん、、」
あいつは迫海道はもう目が覚めてるのだろうか
私はそのことばかり考えながら教室へ向かった

案の定彼はもう目が覚めていて、席に座っていた
「…迫、、く、ん」
「…何?」
「さっきはごめん、、」
「…謝る必要ないだろ、、」
「…え、、?」
気がついたら彼の顔がすぐ目の前にいて、すごく近かった
そして彼は私のあごをもちあげて言った
「お前は俺の排除対象で、俺はお前の排除対象だろうが‼」
「あ、、」
パシィッ
私は彼の手を払いのけた
「…」
「別に言われなくても分かっているわ!迫くん、あなたは私が殺す!」
私はそう言って、、席へ座った
「……」

私は頭がおかしいのかもしれない、あんなこと言われたのに、彼の顔が近かったことにドキドキしているなんて、、、

キーンコーン
いつも通りチャイムがなり
学校は終わった

「まこー」
「サエナ!」
「行こっか」

「私の家にとうちゃーく!笑」
「わ、わぁ、、やっぱ人の家ってはいるの緊張するなぁー」
「遠慮なんかしなくていいよ!ほらはいってはいって!!笑」
「う、うん!お邪魔しまーす。」
そういって私は彼女の家に上がった

彼女の部屋は殺風景と言っていいほど必用最低限のものしかなかった

「ちょっとごはん作るから、待っててね!トイレとか行きたかったら勝手に使っていいから」
「うん!ありがとう‼」

私はそういってただ待った
それから30分経ったくらいに彼女は戻ってきた
「カレーを作ってみたよ!」
「わあ!すごいいいにおい美味しそう!」
「ほんと?ありがとう!さぁ食べて食べて!」
「うん!ありがとう‼いただきまーす」
私はそういって口のなかに彼女のカレーをひと口頬張った
その瞬間だった
「…あ、、あれ、、?」
目の前が急に真っ暗になった
私は意識を失って行くのを感じていった
完全に意識を失う前に私は一瞬、不気味に笑っている彼女の顔を見た
「さ、、さエナ…?」

「フフフフフフフフ、かわいいかわいい私のリリッター〈まこ〉絶対に離さないからね、、、」

『××××は自分を大切にしないね』
『まこ、、?何だよいきなり』
『ん、?なんかふと思ってさぁ、、』
『それを言うならお前もだろ?』
『ん?あ、そっかそうだったね
私たちリリッターだから
自分を大切にする術なんて知らなかったもんね』


ーーーーーリリッターは許されない存在とみなされたために、自分を許す方法なんて知らなかった

それでも、私は生きる理由だけは求めていた

「……」
目が覚めたら私は薄暗い部屋に鎖で手足を縛られた状態で椅子の上に座っていた
「…ここは、、?」

ぼーとした意識の中で私はひたすら周りを見渡す

その景色はまるで拷問部屋のような、刃物や鈍器が壁際に並べられていた

「あぁ、、私、とうとう捕まったのか、、人間に、、、」
きっと殺される、、、、
「捕まったわけないじゃん」

「…え、、?」
「おはよ!まこ!目覚めはどうかな?笑笑」

「…サエナ…」

そうだ、、

「…ん?」

私、、、

さっきまで、、、

「サエナ…、、アンタ、、、」