「ねぇ、何してんの?」
「…誰だよオマエ」
「…あ、ごめんごめん、俺は、大沢譲治!!」
…これは入学式の日
彼は突然やってきた
それから何故か俺にやたらと絡んでくる鬱陶しいやつ

リリッター
第3話 木更津直也と彼との日々

「…あ、あのさ、木更津お前さ成績良いからさ、、授業も出てほしいなー、、って先生みんな思ってるよ、、
せっかくなのに授業欠席してたらもったいなし、、」

「…別に良いだろうが
成績優秀なんだったら
授業出る必要もねえだろ」

「で、でもさ、今は大丈夫でも、これからわからないとこが出てくるかも知れないだろ」
「…それなら、問題ない。少なくとも、2年の間はな、配られた教科書の内容はすべて理解しているうえで覚えている」

「な、もうすでに教科書すべて理解しているのか、、、」
「…もういいっすか?」
「あ、ちょっと木更津!!」
「すばらしいね、やはり君は
本当に優秀な人材だよ」
「牧野教頭!!」
「…くだらねぇ」
「あ、おい!木更津!!教頭に対して失礼だぞ!!ちよっ!待て木更津!!」

…くだらねぇ、教師はどいつもこいつもくだらねぇ
口を開けば、成績、成績、優秀、成績、優秀

全員同じことばっか言う
俺は知っている
あいつらは、綺麗な皮を被っているだけで本当は狂っているんだ
あいつらが敵対しているリリッターなんかより、残虐なんだと
俺は知っている

中等科入学したてのころの俺は、立派なリリッター討伐隊員になると目標を掲げて、毎日心を踊らせていた
信じていた、頑張ればなれると
しかし、ある日教員室でのこと
課題を提出しようと思い訪問した
そこには会議中だったため、誰もいなかった

担任のデスクに向かう
そのデスクの上には一枚の書類が置かれていた
その一枚の書類に、紙切れに、すべての事実が載っていた
『教員心得
教員は、いかにリリッターが人類に有害であるか生徒に理解させること
教員はいかにリリッター討伐のさい、情が過ちであることを生徒に理解させること
そのために教員は優秀な隊員育成たに生徒をリリッター討伐のために手段を選ばないような残虐な隊員になるように尽くすこと』

俺は衝撃を受けた
この学校はそういうところだったのだ
生徒をいかに優秀で残虐にすることが重要であったのだ
その日から俺は、優秀な成績を保ちながら、授業に出ない不良となった
転校するという考えもあったのだが、そんなことしたら負けた気がして、イラついたので、転校はしなかった

「…あいつは、、」
いつもの場所で寝転がっていたら、向こうの方から誰かが近づいてきている

「よう、木更津!! 」
「…またお前かよ、大沢」
「俺以外来るやつなんていないだろ笑」
何笑顔で何気に失礼なこと言っているんだこいつは
俺はそんなツッコミを心のなかで入れた

「何しに来たんだ?」
「昼飯食いに来ただけだよ
ほれ!俺は優しいからひもじいお前にこのメロンパンを与えよう」
「…!!まじで!!くれんのか?!!」
「おうよ!!その代わり味わって食えよな!!」
「あざーす!!!」
俺は、大沢からもらったメロンパンを食べた

「…お前さ、、いつも俺のとこに来て飯食うよな
もしかして友人いないの?」
「…?いるよ?」
「じゃあそいつと食べた方が、、」
「…?今食べてるじゃん」
「…は?今食べてるってお前、、
、はっ!!まさか、、俺の、、」
「…何言っているんだ?俺ら友だちじゃん」
「…っ!!い、いつ友達になったんだよ!!馬鹿かよ!!」
「…あはは!何動揺してんの!!やっぱ木更津って変なやつー笑」
「は?て、てめえに言われたくないわ!!」
「何だとー!!」
「ははは!!!」

この日、久しぶりにたくさん笑った

「…お前さ、退学するのか?」
「…あーこの前俺が言ったこと?あれはお前がするなら俺もしようと思ってただけだから、退学はしないかな」
「…そっか、」
正直、あの時は驚いた
どうしてあんなことを言い出したのか聞きたかったが、やめておいた

「あ、嘉山まこだ」
「…あー嘉山ってたしかリリッターだった」
「そうそう!」
「…お前嘉山に命狙われてんだろ?」
「そんなこと言ったら、木更津だって狙われてるよ」
「あ、そっか、」
俺、命狙われてるんだな

そんなこと思った

「話変わるけどさ、お前ってなんでここに入ったんだ?」

「…ん?なんとなく?」
俺は彼の発言に驚いた
この学校は、国内トップの超エリート学校である
そんなとこに、そんな軽く入って通っている彼は本当に天才なのだろう


「木更津あのさ、、」
「ん?何だ?」
「退学の話なんでしたか分かるか?」
「…大沢?
…いや分からねぇ、、」
「まぁ、分からねぇよなぁ、、
まぁ、理由はお前が授業出ない理由と同じかなぁ」
「え?」
「俺も知っちゃってな
ここの方針ってやつを
お前も知ってんだろ?
じゃないとただぐれただけだったら成績優秀とかあり得ねぇもん」
「大沢、、、」
「…俺さ、、親友がいるんだ」
「ああ、迫のことだろ?」
「そうそう」
「迫がどうしたんだ?」
「あいつ真面目だからさ、、、」
真実を知っているから、親友が心配ってことだと、俺は直ぐに理解した
「…話せばいいと思う、心配なら、俺ならそうする」
「…そうだな、、」
「俺も着いていくよ
前から迫とは話してみたかったんだ」
「木更津、、、ありがと、、」
「…別に」

実際、話してみたかったのは事実だ
迫海道、何もかも完璧だと有名であった
だから完璧というものがどれ程なのか個人的に興味を持っていた

「譲治?それに木更津まで、、何のようだ」
「…さこ、、お前に聞いてほしいこと、、」
「…大沢!!!!!」
「木更津?何だよ?」
「…やっぱ言っても意味ない、、」
「え?何言って、、」
「用がないのか?教室に戻ってもいいか?」
「…迫!!!」
「…何だよ?」
「お前今すぐこの学校から出ていったほうがいい」
「あ?何だお前ケンカ売ってるのか?」
「そんなんじゃない!!」
「そんなんじゃないって、、だったら何だよ、、」
「それは、、」
「木更津、もういいよありがとう」
「大沢…、、」
「さこ、、お前さ、疲れてるよな、、精神的に」
「は?何言ってんだ?譲治」
「だってお前って昔からお人好しで、自分を大切にしなかった
だから、平気ですべての責任を背負ってしまうんだ
背負わなくてもいい責任までもな」
「…だからなんだってんだよ
そんなこと関係ない
俺はリリッターすべてを滅ばせないといけないから」
「…そこまで、自分を壊してまでも、大切なこと?」
「ああ、、例え残虐な人間になってもな」
「…!迫お前、、知ってたのか?!」
「知ってるよ、この学校は生徒を残虐な戦士にしようとしているんだろ?」
「…っ!!
お前が残虐になられたら困る
だから、、、俺が、、壊してやる
この学校を、、」
「大沢?」

俺は彼の発言に驚いた
だけど彼のその言葉が
俺の人生が全て変わることになるのだと
このときの俺はまだ知らなかった