「千隼ーー!!早く行こー
遅刻しちゃーうっっ」
「はいはい。祈織は相変わらず
慌てん坊だなぁ〜 。今行くよ。」
私、美風 祈織と双子の兄 千隼の朝の日常会話。
こんな会話から1日が始まる。

私たちの通う東京都立暁高校までは家から
電車と徒歩で30分程で通える。
今年の春から通いだしもうすぐ1ヶ月だ。
歩きながら
「ちーはーや!
学校生活どう〜?」
「まあ、普通かな。
でも、たまにめんどくさい...
俺が前を通っただけで、悲鳴あげられるから
ね......」
千隼が苦笑しながら言った。
「そりゃそうだよ〜
今をときめくアイドルCROW
の美風 千隼だもん!知らない人なんていない
よ〜。」
「はーいはい
それが俺の宿命でしたっ!」
なんて、無邪気な笑顔で微笑んだ。
そうそう、千隼は幼馴染の葉月 昴(はづき すばる)高1と永峰 咲夜(ながみね さくや)同じく高1と2年前の中2からアイドルグループCROWとして活動しているのだ。原宿でスカウトされ、おもしろ半分でオッケーしたら、いつの間にか時の人となっていた。

「おお!
千隼!祈織!おっは〜」
いきなり後ろから声をかけてきたのは.....
「ああ
咲夜... いきなり後ろから声かけるなよー」
今日もさらさらの茶髪をなびかせながら咲夜が
私たちに声をかけてきた。
「おお すまんすまん!
って、いつもやってんじゃん」
頬に空気を含ませながら千隼の肩に手をつく。
「またやってんなぁ。
いい加減なれろ。千隼。」
あきれ顔で歩いてくる昴。
なぜ、いつも校門をくぐるちょっと前にこの3人
が揃うのかは謎だ。きっとテレパシーで繋がっているんじゃないかな。
「ちょっと!2人とも朝から騒がない!」

アイドルが3人近くにいるだけでも目立つのに
騒いだりなんてしたら、校門に着く前に女子たちに囲まれてしまう。
でも、私にとってこんな騒がしい朝がとても好きだった。

でも、もうこんな朝は迎えられない.......
その時は、こんなことこれっぽっちも考えてなかった。