何で俺じゃダメなの?

*

「ん。」

蒼君はそう言って手を差し出した

恐る恐る手を重ねるとぎゅうっと
痛くなるくらいまで握られた

蒼くんに握られたところがジンジンする


「あ、チャイム鳴るわ」


そう言って蒼くんは自分の席に戻って行った。なんだったんだ…。


「ごめんね、葵ちゃん」


何気に中原君の名前呼びは定着していて嬉しい。

私も賢人くんって呼びたいな…なんて、おこがましいや。


「俺のことは賢人でいいよ」
「えっ…」


中原君に心を読まれたみたいでびっくりした。賢人くん…かあ。


「はい。呼んでみて」
「け、けん…と、くん」


おどおどしてる私を見て賢人くんは意地悪そうに笑った。