何で俺じゃダメなの?

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もう行っちゃうのか、なんて勝手に寂しさに浸ってると中原君がボールを蹴ってまた戻ってきた。


「俺がサッカーしてるところは?…って、ごめん。他に描きたいのあるよね?」

「え、描いても…いいの?」

「もちろん!もし描いてくれるなら
中村さんのためにかっこ良く決めて見せるからさ。」


中原君はそう言って手を振って行った
中原君がボールを蹴り始めると
私の手はスケッチブックに鉛筆を滑らせた

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