「おい!どこ行くんだよー!!」

「まぁまぁ、ついてこいって!」

「ついて行くと言うより連れてかれてるんですけど!?」

裕汰はまた「まぁまぁ」といって俺の首に手を回したまま進んでいく。

「ほらついた!!」

え?トイレ?

「お前トイレ行きたかったの…?」

「ちげぇよ!!まぁここに立て」

そう言われて誘導されたのは小さな小汚い鏡の前。

なにをするんだろうか。

「じゃあ…ほいっ!」

俺の視界がぼやける。

「え!??」

メガネを取られた?
それがないと見えないんですけど!??

「ちょ、見えない!」

「ちょっと待ってろって〜、イメチェンだよイメチェン!」

イメチェン??俺が?

「お前の地味さは凄いからな」

確かに俺は地味だ。
伸びきった髪をそのままにして前髪なんてメガネにかかってしまっている。

でもちょっと心に来るぞ?そのセリフ…。

まぁいいか…。
じっとしてよう。

そうしてじっとしているとあっという間に裕汰の元気な声が聞こえる。

「できた!!ほい、メガネ。」

メガネをかけて鏡をみる…。
期待はしないでおこう。

え…?


「わぁスゲェ!!」

俺は鏡の俺に釘付けになった。
俺というか…変わり様にだ。

あの伸びきった髪が綺麗にセットされていた。
メガネを拭いて見てみても変わらない。
現実だ…。

「明日はコンタクトで来いよな?」

にっと笑って言う裕汰。

「お前元はかっこいいんだから。持ったいねぇぞ〜。」

かっこいいって言った!??

「俺が…!??」

「お前以外誰がいるんだよ!」

やっぱお前面白ぇといって笑う裕汰と目が合う。

「ありがとう」

俺が言うと裕汰は俺の肩に手を置いてへへっと照れくさそうに笑った。