教室に来て自分の席を探す。
でもその前に裕汰が俺の前に来た。
「星也はそこで俺はその斜め前!近くて良かったな!」
俺は頷いて自分の席に向った。
知っている人がいるとこんなに心地いいものか。
はじめは茶髪の赤いパーカーで不良かと思ったがこいつは優しいやつなんだと思うことができた。
「よ〜し、出席とるぞ〜」
案外イケメンな先生に順番に名前が呼ばれていく中で聞き覚えのある名前が聞こえた。
「蒼井 夜留」
よる…?
確認のため斜め前の方の席を確認した。
黒髪の小さいと言う特徴だけで見つけられた。
確かにあの時の子だ。
同じクラスだったんだ。
素直に嬉しかった。
俺は廊下から2番目の一番後ろで、彼女は裕汰の前の席だった。
意外と近い。
はぁ…。
目が合わない…。
綺麗だったなぁ。
こっち向いてくれればいいんだけど…。
「じゃあ明日からの日直とクラス委員決めようか」
先生がそう言うと、え〜?と言う声が飛び交った。
辺りではお前がやれよ〜なんて声も聞こえる。
先生がクラス委員からと言ったと同時に、クラス委員やりますと言う声が聞こえた。
その声は横の女子だった。
栗色の髪をポニーテールにして明らかにクラス委員と言う感じでは無かったが、彼女が言うに中学校では学級委員をやっていたそうだ。
黒板に名前が書かれる。
宇田…栗…?
その名前は栗色の髪にあっていて
ずいぶんと可愛らしい名前だ。
「じゃあ女子は宇田でいいか?」
そう言うとクラスの人達は、はーいと言った
じゃあと言って男子のクラス委員決めにうつる
その時、戻って来た宇田が言った言葉に驚いた
「裕汰やろうよ」
裕汰が…!??
「え〜また〜?」
この反応は…前に経験があるの!!??
「だってこのまんまじゃ決まらないし。」
「あいつは?」
裕汰が指を指したのはハタからみても真面目そうなクラスメイト。
「あいつそーゆーのやらない主義とかいってたよ」
「え〜…」
誰も手が上がらない中宇田が裕汰を睨む
しばらく考えるとため息をついてわかったよと言った。
ぱあっと明るくなる宇田を見て黒板の前に歩みを進めた。
「先生〜俺ヤリマース。」
やりたくなさそうな言い方だな。
もちろん俺がやっても良かったんだけど、田舎からきたばっかの俺が都会っ子をまとめられるとは思えなかった。
そして日直を決めようとなった。
だが、今度こそ手が上がらず、仕方ないと言うように先生はため息をついた。
「こうなると思ったからくじ引き作ってきた」
まじかよ…。
くじで名前が呼ばれた人が日直。
そして先生がくじ引きに手を入れた。
辺りが静かになる。
「…希崎星也!」
「うぇ!!???」
へんな声を出してしまった…
ってそんなことより!!
え?いまなんて…
前で裕汰が腹を抱えて爆笑している。
「星也、はっぅっ…おまぇだぞ…」
あぁ俺なんだ。
そんなに笑うなというように前に行くついでに裕汰の頭を軽く殴った。
黒板に名前が書かれる。
そして女子決めだ。
不良が来ないように祈っていた。
不意に左を向くと彼女…夜留と目が合った。
逸らされたけど確かに見えた。
やっぱり彼女は綺麗な目をしていた。
彼女と一緒に出来れば苦ではないだろう。
背中で隠すように指を絡めて願った。
その時聞こえた名前に耳を疑った。
「蒼井 夜留!」
「へっ!??」
俺は耳を疑った。
でもそれと同時に聞こえた声が空耳じゃない事を物語っていた。
そして彼女は俺の隣に来た。
やっば…小さい…。
俺は自分と彼女の名前が書かれた黒板を見る。
夜留って書くんだ…。
それじゃあこの2人でいいな。2人とも戻っていいぞ。というので俺達は自分の席に戻った。
心の中でガッツポーズをしながらも明日が楽しみだった。

