入学式。
どこを見ても知っている人は1人もいない。
当たり前か。

辺りでは久しぶりや、また一緒かよなどと言う声がところどころ聞こえてくる。

やっぱり学校が同じ人は多いのだろう。

俺は終わるまでもう髪の毛が手遅れになり禿げた校長先生の話を聞きながらぼーっとしていた。


「ぉ…ろょ……」

ん?何か聞こえる。

「おーい。起きろよ」

「ん…?」

俺はハッと目を開けた。
もうすぐで退場だ。

声の主は前に座っていた男だった。
茶色い髪に学ランの中には

「赤い…」

赤いパーカーを着ている。
でも男から見てもかっこいい…と思う。
格好は不良っぽいけどいわゆるイケメンってやつだ。

その彼はどうやら後ろを向いて俺の頭を叩いていたようだ。

「わお、ありがとう」

「なんだよわおって…」

と言いながら彼は笑いを堪えている。
それを不思議に思いながらも見ていると

「俺、赤城 裕汰。裕汰でいいよ、よろしくな!」

そう言って裕汰は握手を求める。

「お、俺は希崎 星也。俺も呼び捨てでいいよ、よろしく。」

そういって握手した。

体育館から退場して教室へ行く途中、裕汰が隣に来た。

「ねぇねぇ、星也はどこ中だったの?」

「あぁ、俺は田舎から越してきた。」

「そうなの!?だからちょい地味なんだな。」

へへっと笑って言った
失礼だなと思ったが、その笑顔に騙されたように笑ってしまった。

「俺、オシャレとかよくわかんねぇからさ。」

と言うと思いついたように裕汰が言った。

「じゃあ後で改造するか!」

驚きを隠せず、戸惑っていた俺を関係なしに「じゃあHR終わったらなぁ〜」とスキップしながら戻って行った。