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目がさめるとそこは真っ白に囲まれたところだった。
そしてそこが病室だとわかるまでに数秒要した。
腕は細い管に繋がれ、頭には包帯の感覚があった。
そして横には目をパンパンに赤く晴らせた雪と京と真美が座っていた。
「……よぉ、元気…ではなさそうだな」
「……お前よりかは元気だよ」
京は力なく笑った。
「……ゆっくんのお母さん、外で病院の先生と喋ってるよ」
「…そっか」
身体を起こすと全身にズキズキとした痛みが走った。
布団を軽く剥ぐと、いろんなところにアザができているのが見てわかった。
「ゆ、いと君…あの、私…!」
「雪」
ピクリと小さく雪がはねた。
雪の顔はボロボロで、涙の跡がついていて、おそらく俺の血だろうと思う跡もついていた。
この時、雪の瞳は初めて俺の目を捉えた。
真っ暗で、光がなく、悲しみに満ちている瞳。
吸い込まれそうなほどに暗い瞳だった。
「あのさ、雪、俺、今みっともないくらいにボロボロだけど…生きてるから」
雪の瞳が少し潤んだ。
「ほらな?…大丈夫、だったろ?」
雪は大粒の涙を流して唇を噛み締めた。
声を出さないように、静かに泣いていた。
「俺は………雪の抱えてるものを知りたい。そして、俺に分けて欲しい。雪は、1人で全部抱え込みすぎだと思う。俺は、初めて雪を見たとき思ったんだ。助けてやりたいって。なんでそんなに悲しい目をしてるのか、俺はずっと、知りたかったんだ。」
涙はこぼれ落ちてシーツを濡らす。
そして収まりきれない悲しみとして少しずつ落ちていくように見えた。
「俺は、雪といたって不幸になんてならない。死なない。雪を見捨てたりなんかしない。だから、俺と…俺たちと一緒にいてほしい。そして、雪が抱えてるものを一緒に抱えさせてほしい」
雪は嗚咽をもらしながら泣いた。
人目を気にせず、思いっきり泣いた。
