「おい!!!子供がはねられたぞ!!!早く救急車を!!」
「きゃーーーーーーっ」
「ひき逃げだ!誰かあのバイク捕まえろ!」
「親はいないのか!!?」
何が起きたの?
身体は地面に打ちはしたが、はねられたほどの痛みというものはない。
手も足も動く。
そして視界には騒ぎを聞きつけた人々と、血を流し横たわる結人君がいた。
「ゆ…いと……くん?」
彼はピクリとも動いてなかった。
泣き叫びながら駆け寄る真美ちゃんと京君。
そこに動かない結人君がいた。
「嘘…でしょ?ねぇ、嘘だと言ってよ…」
私の言葉は野次馬の声にかき消され誰の耳にも届かない。
「いや…いや……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
気づけば私は結人君に駆け寄る2人をはねのけていた。
血は温かくねっとりとしていて私の手のひらに絡みつく。
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!私が、私がいい子じゃないから!!!私が、子供だから!!何もできないから!!ごめんなさい!ごめんなさい!大丈夫なんかじゃない!!大丈夫じゃないの!!!私は、私が、いい子じゃないから!!!」
記憶がこんがらがって曖昧になる。
目の前に倒れる結人君に重なるように両親の姿が浮かんだ。
でもその姿は背中を向けていて私から逃げていく。
