「……私、帰る、ね」
背中を向けて走り出した。
「ちょ、待って!雪!」
公園を飛び出して一直線に家へと向かった。
後ろからは結人君の声と慌ただしい足音が追いかけてくる。
「ついてこないで!私と、一緒にいないで!」
私といたら、周りの人は不幸になる。
私は幸せを奪ってしまう人だから。
お父さんも、お母さんの幸せを奪ったのも私だから。
お父さん、私は自分にも友達にも優しくできないよ。
お母さん、私は自分も周りの人も幸せにすることなんてできないよ。
…私、生きてていいのかな?
「雪!!!」
ふとその声に立ち止まった。
立ち止まると大きなクラクションを鳴らしたバイクが私の視界に入った。
バイクは次第に視界を占領して、私の心まで支配した。
時は砂時計のようにゆっくりと流れ、運転手の顔が引きつっているところまではっきりと見えた。
あ…私、死ぬ?
痛みはあるのかな?
すぐに死ねるのかな?
血はでるかな?
お父さんとお母さんに会えるかな?
