転校して半年が経った。
涼しく心地よかった春は終わり、夏がやってきた。
気温も少し上がり、それでも過ごしやすい日が続いた。
カレンダーがめくられ、蝉も鳴き、日の沈む時間も変わったが私は全く変わらなかった。
結人君、京君、真美ちゃん。
この3人は飽きずに私に付き合ってくれている。
最初はどうせ先生にでも頼まれているのだろうと思ったが、どうやらそうではないっていうのは最近わかったこと。
そして、真美ちゃんが私のことを嫌っているのも最初からわかっていたこと。
それでも私は少しでもいい子でいなければならないから。
彼らが私を望むなら、望み通りに、彼らが私を必要としないなら私は彼らの目の前から消えてしまおう。
そんなバカみたいなことを考えて過ごしていた。
今日は土曜日。私は彼らに誘われ公園に来ていた。
私が好きなあの公園ではなく、車通りも多く賑やかな公園。
そんな公園に私たちはいた。
「今日は何すっかな〜」
京君は腕を組み口を尖らせそう言った。
「サッカーは?ボール持ってきたんだろ?」
「え〜やだよ。服汚れるし…今日の服、お気に入りなんだもん!」
「汚れてもいい服でこいよ」
「汚れてもいい服なんてないよ」
真美ちゃんはピンクのフリフリでリボンがついたワンピースを着ていて、裾を広げくるりとその場で一回転した。
京君と結人君はやれやれといった表情で大きなため息をついた。
「じゃあ、雪は何がしたい?」
結人君が私に問いかける。
「…別になんでも」
私はまた目を見ることが出来なかった。
相変わらずいじけてばかりで、自分からも話せない。相手の目を見ることもできない。
誘ってもらってるのに、いつも一緒にいてくれてるのに、
こんなの、ちっともいい子なんかじゃない…
