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「おいおいっ、ゆーと、お前あの転校生とどういう関係?」
なんとか始まった授業が終わるや否や、京が俺に詰め寄ってきた。
少し遅れて真美もやってくる。
「あ、やっ、その…昨日偶然見かけて…それで…」
「それで、落とした給食袋を届けてくれたってこと?」
「お、おう、そうだよ」
「それだけ?」
「それだけだって!」
「ほんとに?」
「ほんとだから!」
京は机に身を乗り出して問い詰めてくる。
俺はなんとかこの心臓の高鳴りと身体の火照りを誤魔化そうと必死だった。
「…ふーん、そーなんだ…」
京は間を空けてそういった。
真美はずっと黙って俯いたままだった。
「…そうだ、あの子俺らのグループに入れようぜ」
京は意気揚々とそう言った。
「…え?」
俺は気の抜けた声でそれだけ言う。
京は名案だといわんばかりのドヤ顔で乗り出していた身を引き腕を組み、自慢気に言い出した。
「ほら、ちょうどあの子もゆーとの名前は覚えてるみたいだし?4人になったらさらにいろんな遊びできそうだしさっ!よくね?」
「…ちょっ、待ってよ京!いきなり何言ってんの?そんなの、ダメだって!」
今まで黙っていた真美が口を開く。
2人は俺をほったらかして会話を進めた。
「なんで?いーじゃん、真美だって女子2人になった方がいいだろ?俺らだって一日中ずっと一緒にいられる訳じゃねーし。あの子いた方がよくね?」
「え、いや…それはそうだけど…でも、今までずっと3人でやってきたじゃん!それに、あの子周りと関わりたくないって感じしてるじゃん!自己紹介だってたったあれだけだし…とりあえず、やめようよ!!」
なんとか彼女を仲間に入れようとする京と必死に反対する真美。
「あ〜もう真美しつこい。こうなったらゆーとに決めてもらおーぜ。」
不意に2人の視線は俺へとやってきた。
自信ありげな京と不安げな真美。
俺…は…
教室の端に座る彼女をチラリと見た。
横顔しかわからないが、髪の隙間から覗く瞳は昨日と変わらず光がなかった。
