ある日の朝、起きたら家には誰もいなかった。
机の上にあったのは質素な朝ごはんと置き手紙。
"大好きな雪、ごめんなさい。さようなら"
その手紙は涙で濡れたようなシミがあって、しわくちゃで、字も利き手じゃないほうで書いたみたいに汚かった。
子供の私に理解できたのはただこれだけだった。
私は捨てられた。
私が、子供だから。
子供の私には信じることしかできないと
非力だと
信じることは大切なことだと
言い聞かせて
きっと、また元に戻れる
そう安易に考えてたから
私は、要らないとされたんだ。
大丈夫なんかじゃなかったじゃないか。
頭の中に両親の笑顔が浮かんでそれは泡のようにすぐに消えてしまった。
そして二度と浮かぶことはなく、代わりにどうしようもないくらいに涙がこぼれ落ちた。
お父さん、お母さん、ごめんなさい。
