私だってこの29年間、彼氏はいた。
もちろんキスもその先も初めてではない。
でもだから、わかってしまった。


須賀とのキスがとろけるように心地よく、とてもキモチイイ、私の好きなキスだってこと。



どれくらいキスされていたのかわからないほど、私はトロンとしてしまった。



不覚にも。相手は須賀なのに。



「フッ。なにその顔。すごいそそるね。このまま続きもする?」


そう言いながら私のからだを倒されかけたところで意識が戻る。


「ダメー!!」


ドンッと須賀を思いっきり突き飛ばした。



真っ赤になっているだろう顔と耳が暑い。


須賀は、クスクスと笑って立ち上がった。


「とりあえずここ出よう。送ってくよ。」


そう言って私に手を差し出した。


「俺とお前は結婚するんだ。それはもう決まったこと。諦めろ。」


そう言うと私の手を掴み立たせると、ぎゅうっと抱き締めた。

そして私の耳元でこう、ささやいた。



「……心配するな。たっぷり愛してやるから。」