その日の夜。
私は伊織とホテルのレストランで食事をして、今は伊織の部屋で休憩中。


「はぁー。いよいよ明日だね。ちょっと緊張してきた。」



「そうだな。」

伊織はそう言うと、カバンから1枚の紙を出した。


それは婚姻届。


すでに、伊織のところと証人の欄は記入されていて、残すは私が書くところだけ。

伊織は、テーブルに用紙をおくと私の手を握る。

「恭華。俺が、恭華のことを一生幸せにするから。だから恭華も俺についてきて。」


「はい。」


伊織にギュッと抱きつく。


「よしっ!たっぷり愛してやるからなっ!」


そう言って私を持ち上げ、くるくると回る伊織。


「ちょ、ちょっと!重いから離してってば!!」


「やだねっ!」


「もうっ!」



始まりはお見合いなんて、なんの気持ちもない出合いだったけど、私達はちゃんと恋愛をして、明日結婚する。


始まり方なんてなんでもいい。
そこからちゃんと、恋していけばそれは素晴らしい恋愛結婚だよね。


結婚だって、ひとつの始まり。
これから先もっともっと、二人で幸せになって、いつまでも私は伊織に恋していたい。


お母さんになっても。
おばあちゃんになっても。


「恭華!早くサインしろよっ!」


「わかってるってば!」



私はずっとずっと、伊織に恋してる。