私がなぜこんなにも焦っているのかと言うと。


始まりは1ヶ月前にさかのぼる。


「はぁ?お見合い?嫌よそんなの。絶対。私、興味ないし。」


久しぶりに実家に呼び出されたかと思ったら、両親は私に見合いしろと迫ってきた。


「そんなこと言って、もう29じゃないかっ!とにかく1度会ってみなさい!」


そうため息をつく私の父はある企業の社長。

「いいじゃない。とりあえず会ってみるだけ!ねっ!ほらお相手はかなりイケメンなのよ。」


そう言って母は私に相手のお見合い写真を見せる。



あぁもう、本当にめんどくさい。
私は今は仕事を頑張りたいのに。

嫌々見たお見合い相手の写真を見て、私は一瞬驚く。


そこには、高校時代の同級生、

須賀 伊織 が写っていた。


私と須賀は高校時代、水と油のような関係だった。
何かと突っかかってくる須賀に私は毎日イライラしていた。
成績でも、スポーツでも何でもアイツと競って、一度も勝てた事はなかった。
負けず嫌いな私は、高校時代本当に悔しくて、アイツとはケンカばかりだった。


そういえばアイツの家も、何かの企業だったっけ?興味なかったから覚えてないけど。
でもまぁ、いい。


須賀だってきっと、私の事が嫌いなはず。
会うだけ会えば、両親は黙るし、須賀だってこの縁談を断るはず。


ラッキーじゃん!!



「そうだね。いいよ!会ってみる。」


そう答えると両親は大喜びした。



このときの私はまさかこんなことになるとは思わずに。