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18時。
定時ピッタリに仕事を終えると、すずとロッカーへ向かう。


「にしても先輩。かぁーなり話題ですよ?」


「知ってる。」


はぁーと深くため息をつき、疲れ果てた今日一日を思い出す。


須賀が帰ってから大変だった。
フロアマネージャーに、本当に婚約者なのか問いただされ(否定済み)
『どこぞの御曹司を捕まえたというのは本当か!?』と、他のブランドのBA達に問いただされた。


あーもー。どんどん、外堀から埋められていってるこの感じ。
どうにかしなきゃな。


「はぁー。連絡してみるかぁ………嫌だけど。マジで嫌だけど。」


「先輩、心の声漏れてますから。……いいじゃないですか。御曹司で、イケメン。そんな人なかなかいないですよ?」



「それはわかってる。でも、なんていうかさ………」


自分の意志は置いてきぼりにされて、どんどん進んでいく事が嫌なんだよね。
何より、私。
やっぱり、恋愛結婚がいいんだよね。
お見合いでなんて、ましてや、強引に結婚するなんてありえない。


人並みだけど、幸せな家庭を作りたいのよ。私は。

それに須賀だし。
いきなり、同級生とってのも、なんか恥ずかしいような、キマヅイ感じだし。


だいたい、なんで須賀はこの結婚に乗り気なんだろう?


「………あの男の考えてることはさっぱりわからん!」


「まぁまぁ。先輩、これも1つの恋愛の始まりですよ。じゃあお先に失礼しまぁーす!」