『アイツの気持ちに応えてやれよ!』




あんなに本気な蓮は初めて見た。


常に無気力なヤツが、ある1人の人の為にあんな必死になっていた。



「…お前も気持ち伝えろよ……」



ポロッと、そんな言葉が口から零れた。



「ん?優陽何か言った?」


「あ?いや、何もない」


「あ!そうだ優陽。あのさ、今日花厳さんにね、蓮も“男”って事わかってあげてって言われたんだけど、そんな当たり前の事私わかってるよね?」



花厳さん…あ、花厳叶愛って女か。


コイツにあんな突っかかってたら、蓮の事好きって言ってるようなもんだろ。



「あー、まぁわかってるけどわかってないな。」


「え、矛盾してるよ?」


「だから」



ソファーから立ち上がり、テーブルの向こう側へ行き



「キャッ」



アイツを押し倒す。



「蓮と密室に2人でいると、こういう事もありえる。アイツも“男”だから。」



すぐ近くに真っ赤になったコイツの顔がある。


…くそ、何でこんな可愛いんだよ



「顔真っ赤だけど、何で?」


「へ!?まっ、真っ赤じゃないよ!?てか優陽どいて!!」


「えー、どうしよっかな?」


「花厳さんが言う“男”の意味がわかったから!降りてってばー!」


「何でそんなに顔赤いのかな?」



ダメだ、またこんな事言ってる。



「わりぃ、ちょっといじめすぎ…」


「優陽は!…優陽は、私の事なんとも思ってないかもしれないけど…私は、そうじゃないから…。だからお願い…そこ、どいてほしい……」