綾達が帰った後、私はバス停のベンチに腰掛けて、赤く染まり始めていている空をボーッと見上げた



ずっと前に、優陽の家から見た夕日がすごく綺麗だったのを覚えている。


元々月や星を見るのが好きなのもあって、その時は夕日が沈むまでずっとベランダに出っぱなしだった。


「…夕日、好きだな。」


誰もいないバス停で1人そう呟く。


「誰が好きだって?」


「えっ!?」


バッと顔を上げると、待っていた人が立っていた。


「優陽、ごめんね。わざわざ迎えに来てくれて」


「そんな事より、さっきのなに?」


「ん?さっきの?」


「ほら、なんとかが好きだなって」


「なんとかってなに……あっ」


“夕日、好きだな”

“優陽、好きだな”