次の日も、朝は蓮が迎えに来てくれて、学校は間に合った。


今日も面白くもない授業を受け、昼は皆の所で食べて、放課後も皆と帰る…はずだった。



「君月さん、話があるんだけどいい?」



声を掛けられたのは、花厳叶愛。


蓮の事が好きで、協力すると言っときながらも、それを裏切ってしまった。


きっと、怒ってるだろう。


呼び出されたのは準備室、使う時はほとんどなく、人ので入りが少ない部屋だ。



「水澄君と付き合ったんでしょ?」



窓の外を見ながら、まるでひとり事の様に小さく言った。


どんな顔をしたらいいのだろう…。


きっと、合わせる顔もない。



「私見たんだ。中庭でキスしているところ。けどね、全然怒ってないよ。私が気持ち伝えた所で、結果は変わらなかったから。」


「…花厳さん…」


なんて優しい人なのだろう。


だけど、きっとこの言葉は嘘だ。


私なら、裏切られて泣いている。


声を上げて、泣いている。




花厳さんの顔は、窓から射し込む光のせいでよく見えない。




「私ね、意地悪したの。協力しろって言ったのも、君月さんの気持ちに気づいてた上で言った事だった。…だから、あなたが思っているほど私は優しくないし、いい人でもない…っ…すっごく性格の悪い人なの…」



涙を流しながら言う花厳さんは、いつもの気の強そうな花厳さんじゃなく、か弱い女の子に見えた。



「花厳さんは悪い人じゃないよ!花厳さんは、裏切った私を、好きな人を取られた女と、こんなに優しく話してくれてるじゃん!」