【短】彼と彼女のバレンタイン。







「え、何……ぶっ」







呼び止められ、首だけで振り返った刹那、何かが勢いよく飛んできて顔面にぶつかった。







「渡すものあった。ただの板チョコだけど、良かったらどーぞ」








突然の出来事に呆然としていると、向かいからガラガラッと窓の閉まる音が聞こえた。







「……なんだったんだ、今の。てか、顔痛ぇ」








確か板チョコとか言ってたな…なんて、正常に動いてくれない頭でぼんやりとそんなことを考えていると、ふと目線が下にいった。








「……普通に渡せよ」








軽く悪態をつきながら、さっき俺の顔面にぶつかってきたんであろう千早からのチョコレートを手に取る。









フッ、と笑みをこぼしてから、それを口に運んだ。