【短】彼と彼女のバレンタイン。






「……なぁ、」






その後ろ姿にポツリと呟くと、千早がこちらへ向き直る。





「ん、何?」






「…お前はなんか俺に渡すものとか、ないの?」






「は?別にないけど」






なんとなく想像はついていたけど、あまりにも即答で返ってきた答えに少しだけ落胆する。






「…だよな。変なこと聞いて悪い。じゃあまた明日」







千早にはバレないように短く息を吐いてからそう告げて、窓に手をかける。








「……律、」