「あー、多分ある。ていうか、用がある時にクッション投げて知らせてくるのいい加減やめろよ」






そう、さっきの音の正体は千早が投げたクッション。





俺と同じでめんどくさがり屋の千早は毎回そんな呼び方をしてくる。






「いいじゃん、別に。」






悪びれた様子もなく、淡々とそう言い放つ千早にクッションを投げ返す。







「百歩譲ってそこはいいとしても、こんな夜遅くに大したことない理由で俺を呼び起こすのは改めていただきたいんですけど」







「せっかく律(りつ)に教えてもらったから、復習しておこうと思って」







「あー、はいはい。じゃあ次から気を付けてください。ほら、復習頑張れよ」







「ん、さんきゅー」






数学のノートを受け取って、部屋の中へ戻ろうとする千早。