果歩に無理な命令をして怒鳴り散らしてストレス発散をしてみても、結局のところあたしの現状は何も変わってはいなかった。


自転車の女はあたしに敵意を向けている。


気にしていないふりをしてみたって、脳内にあの時の光景が強く焼き付いていた。


いつもの倍の量を勉強したあたしは、心地よい疲れでベッドに入って目を閉じた。


睡魔はすぐに訪れてあたしは暗い世界へと引き込まれていく。


しかし、穏やかな眠りは長くは続かなかった。


夢の中に、あの自転車が出てきたのだ。


後ろから走ってきた自転車はわざとあたしにぶつかり、そして罵声を飛ばして来る。


あたしは相手の顔を確認しようとするけれど、相手の女は真っ白な仮面をかぶっていて顔が見えない。


そして自転車の女はあたしを置いて走って行く。


その場に尻餅をついてしまったあたしは、立ちあがろうとして目の前に仮面の男が立っていることに気が付いた。


いつの間にこんな近い距離に！？


そう思い、ハッと息を飲む。


男はさっきの女と同じ、白い仮面をつけている。