純粋で真っ白な嘘

その中の一人がいま隣でトマトジュースを


飲みながら本を読んでいる『ライ』だ。

彼はあまり喋らない。


黒いつば付きの帽子をかぶっている。


だから顔が見えない。

大人しい人だ。


ライが口からパック入りのトマトジュース

のストローから口を離した。


「八重の夢は何」

低い声で静かにそう囁いた。


「夢は無いかな。あまり考えた事が無いよ」