純粋で真っ白な嘘

河野裕だ。



長く極め細かい真っ黒な髪。

風に靡いて凄く綺麗だ。

2年前と全然変っていない。





右回りで河野が後を向いた。


河野もすぐ僕の事が分かったんだろう。

「八重...?」

小声で囁いた。

ほんの僅かな声だったけど。

河野の声は良く通るから僕まで届いた。