12月後半の冬の夕方、部活帰りの私は暗い中帰っていた。
吐く息がやけに白く思わず身震いしてしまう。

いつも私にばかりくる。
それは、学校であるいじめだ。
別に私自身がいじめられてるわけではないけどどっちの味方につくかなんだとか、もううんざりする。テストではまさかの連続赤点。

「本当、最悪…」
それに私の家庭環境は凄く悪いのだ。
父親は私にすぐ当たる。
母親は私を捨ててどこかに行ってしまった。
いろんな事を思い出してると、今日みんなに言われた陰口が蘇る。

『マジあいつうぜえ』

『どっちの味方なんだよ』

『顔きもい。』

陰口言うなら仲良くしてもらわなくていい
でも、一緒にいないと、
本当に居場所がなくなってしまう。

ピロリンッ♪

作名 お父さん
今日はもう家に帰ってくるな‼︎
死んでしまえ!

「…」


親も味方じゃない、何もない私…


「───っ…ううっ」

涙はいつの間にか出ていた。
ポロポロと。
ちょうど下は川だ。

死ねば…何にも縛られない。
死ねば楽だろう

『死んでしまおう。』

私は橋の手すりをギュッと握りしめた
そして目をつぶった。

「嫌な人生だったなあ」

私は上半身を乗り出した。


すると。

⁇⁇「キミ。何してるの?」

わたし「‼︎」
『ヤバい。人がいた…』

⁇⁇「…死のうと、してた?」

わたし「…」
『初対面の人に、普通話さないし…』

⁇⁇「話してよ…」

わたし「…え?」

⁇⁇「ほら、いいから」

わたし「は、はあ…」

何故か私はこの人の言う事に逆らえなかった。


───────────

私は全部話した。
さっき会ったばかりの人に。
全部。全部。

⁇⁇「そっか…」

わたし「ごめんなさい、会ったばかりなのにこんな事…って…え?」


その男の人からは大粒の涙が流れていた。
何故か。たくさん。
普通の男の人がこんな他人事で泣くだろうか。

わたし「だ、大丈夫ですか⁉︎」

⁇⁇「あははっ。ごめんね。」

わたし「いえ…全然。」




⁇⁇「よく、頑張ったね。」




わたし「───っ…」

ダメだ。泣くなわたし。
これ以上迷惑かけたくない…

⁇⁇「辛かったんだろ?泣きなよ。」

わたし「そんな事…な…」ボロボロ

わたしの目からはさっきとは比べ物にならないくらいの大粒の涙が溢れた。

わたし「うあっ…うああっ」

⁇⁇「…」

わたし「うあああん。うあっ…」

その人は黙ってわたしの側にいてくれた。
わたしが泣き終わるまで
ずっと…


──────────

わたし「あの…本当にありがとうございます」

⁇⁇「いいよ!気にしないで!」

わたし「だって…こんな寒い中…」

⁇⁇「いいのいいの!」ニコッ

でも、初めて会ったばかりなのに
なんでこんな優しくしてくれるのかな…
まさか、会った事あるとか?笑
いや、ないかな…さすがに。
見覚えないし…

⁇⁇「じゃあ、バイバイ!」

わたし「あっ…あの!」

⁇⁇「どうした?」

わたし「わたし達って…会った事…ありますか?」

⁇⁇「…」

わたし「あっ…変な質問ですよね。でも…」

⁇⁇「本当に…全部忘れてるんだね…」ボソッ

わたし「…え」

⁇⁇「さあ…会った事は、どうかな。」

わたし「…それってどうゆう。」

⁇⁇「いいよ。忘れて!それと、俺の名前は、酒井 れんと!よろしく!」

わたし「…はい。」
わたしは気が乗らないまま返事をした。

れんと「…バイバイ。エレナ。もうこれっきりだろう。」

わたし「え?え?」
なんで私の名前を?


れんと君は
去っていった。

私は忘れていた

全部…

まさか、次。あんな事があるなんて…