「あ!皐月!」

おはよ~♪と、周りに花が咲きほこれるように駆けよるゆうな。小動物みたいでかわいいな~って思ってしまう。

「おはよ」

「今日もかっこいいね!」

ちなみに、この『かっこいいね!』は遙に向けられたのではない。女であるあたしにだ。

「はいはい、ありがと」

いつものことだからスルー。それでも毎朝あたしに言うんだよね。そんな明るいゆうなが好きだ。

2人で雑談でもしながら教室へと向かう。楽しそうに話すゆうな。そんな彼女から唐突に質問される。

「伊川くんとどうなの?」

「はぁ?遙?」

なんで遙が出てくるんだろう?

「んー、まぁ、楽しいけど」

「付き合わないの?」

「そんな仲に見える?絶対、あいつに女として見られてないから!」

デブとかブスとか、今日は大根足!女として見られていないという証拠はたくさんある。

「えぇ?皐月は伊川くんのことを好きだと思ってたのに」

「そんなの考えたこともないよ」

ただの幼なじみ。これがしっくりくる。それ以上でも以下でもなく。

これでいいの。このままの関係で。

キーンコーンカーンコーン…

「やばっ!予鈴!」

「皐月ちゃん、待って~!」