*皐月side*

少し肌寒い朝。

けれど、あたしの胸はワクワクしている。なんたって…

「おっはよー、遙!」

「重っ!」

「失礼だな、そんなに太ってないし!」

「嘘つけぃ」

こいつは伊川遙。あたしの幼なじみ。むかつく時もあるけど、スポーツ万能(勉強は絶望的)なモテるやつ。

小さい頃から毎朝一緒に登校してるから、高校生2年生となった今でもその癖は治らず。

けど、その癖が治らなくてちょっぴり嬉しいんだよね。

なんでか…自分でもわかんないんだけど。

「てか、お前さスカート短すぎね?今、秋だぞ?」

「え?こっちのほうがかわいいから」

「その大根足さらすなょ「うっさい!」ははっ、冗談だっつの」

いっつもこんな感じ。

多分、男勝りでイケメン顔って言われてる(らしい)あたしは遙にとって男としてしか見れないんだ。

ま、いいけど~







「じゃあな」

「じゃっ」

高校に着き、玄関で遙と別れる。遙とは別のクラスで、靴箱も教室に近い階段も違うから。

遙の背中が見えなくなるまで見送るけれど、本人が振り返ることなんて一度もない。

いつものことだけど、やっぱり少し寂しい。

背中が見えなくなって自分の靴箱へと向かう。

するとそこには親友である紫原ゆうなが。