と言い尚人が指差した先には......ジェットコースターがあった。
「え?最初からジェットコースター∪」
「やだ?」
「私は別にいいけど」
「私も大丈夫だよ。聡は?」
「俺は別になんでもいいよ」
「んじゃ決まりな。梨奈行こう」
といい尚人は梨奈の手を掴んでジェットコースターの方へ歩いて行った。
(いいな〜梨奈...)
と奈緒は羨ましがっていた。
「俺たちも行くぞ」
「...うん」
聡と奈緒もジェットコースターの方へ歩き出した。そしてジェットコースターの乗り場に着くと...。
「げ∪1時間待ち∪」
「まじかよ∪」
「ど−する?やめる?」
「せっかく来たんだし乗ろ〜ぜ」
と尚人は乗りたそうに言った。
「そうだな。並ぼうぜ」
「そ〜しよう♫」
尚人は嬉しそうに答えた。
(尚人子どもみたいにはしゃいじゃって(笑))
と梨奈は思った。
そして4人は列に並ぶことに。1時間後...。
「や〜っと乗れた〜」
と尚人は嬉しそうに言った。そしてブザーと共に出発した。そして20分後...。
「や、やっと終わった...」
「奈緒大丈夫?」
「ん〜〜」
「ちょっと俺ら座って休憩してんな」
「え!大丈夫だよ!!」
「いいから座ってろ」
聡は奈緒をベンチに座らせた。
「...ごめん」
「俺らなんか飲み物買ってくるよ」
「奈緒飲める?」
「...うん」
「何がいい?」
「私オレンジジュース」
(オレンジジュースって...子どもみたいだな(笑))
と聡は思った。
「んじゃ、俺もオレンジでいいや」
「了解」
尚人と梨奈は売店へ飲み物を買いに行った。
「お前絶叫系苦手だったのか?」
と聡は奈緒に訊いた。
「そんなことないんだけど...」
「体調は?」
「悪くない」
「なんか悩んでんのか?」
「...大丈夫」
(顔に出てるっつの=3何悩んでんだか=3)
「もし何かあんだったら1人で抱え込んでねェで俺に話せよ」
聡は奈緒の頭を優しく撫でた。
「...うん...ありがと... 」
しばらくすると飲み物を買って尚人と梨奈が戻ってきた。
「はい。オレンジジュース」
と言い梨奈は奈緒にオレンジジュースを渡した。
「ん」
「ありがと」
尚人も聡にオレンジジュースを渡した。
「はいよ」
「サンキュ。はいよ」
と言い聡は2人分の飲み物代を尚人に渡した。
「別におごるのに」
「いんだよ。受け取れ」
「はいはい」
尚人は聡からお金を受け取った。
「あ!聡私自分の払うよ」
「いいよ」
「でも...」
「おごられてろよ」
(言ってもダメそうだな...)
奈緒は観念したように
「...わかった。今日はそうする。ありがと」
と聡に言った。しばらくゆっくり休憩した4人はその後もいろんな乗り物に乗った。そしてお化け屋敷に入ることにした4人は...。
「ホントにいいのか?」
と尚人は奈緒に向かって訊いた。
「何が?いいよ」
と奈緒は答えた。
「でもお前...」
「大丈夫!!並ぼう!!」
と尚人の言葉を遮り奈緒が言った。4人は列に並ぶことに。
「お前なんか隠してんの?」
さっきの奈緒と尚人のやり取りを見ていた聡が奈緒に訊いた。
「ううん。なんでもないよ」
「ふぅん」
「なー2人ずつ入ろっか!」
と尚人が提案した。
「え!皆でじゃないの?」
と奈緒が言うと
「尚人だって梨奈と付き合ったばっかで2人になりてェんだろ」
と聡が奈緒の耳元でコソッと言った。
(そっか...せかっくのデートだもんね)
「そーだね!そーしよ!」
と奈緒も賛成し、2人ずつ入ることになった。しばらく並んでいると順番になり先に尚人と梨奈が中に入っていった。
(どーしよ...2人っきり......大丈夫かな...)
と、奈緒は不安になっていた。
「次どうぞ」
と係りの人に言われ聡は歩きだした。が、奈緒が止まったままなのに気づき立ち止まった。
「奈緒」
聡は奈緒に声をかけた。
「え?」
奈緒はビクッとして聡を見た。
「行くぞ」
「あ...うん...」
聡と奈緒も中に入っていった。先に出口から出てきていた尚人と梨奈は...。
「梨奈大丈夫?」
「うん」
「梨奈はお化け屋敷大丈夫なんだ?」
「うん大丈夫。ところではって?」
「奈緒はさ、暗いとこダメなんだよ∪」
「え!?それはお化け屋敷ダメなんじゃないの?大丈夫なの?」
梨奈は心配そうに訊いた。
「ん〜ダメだとお思う∪」
「どーする?もー入っちゃってるよね?」
「とりあえず聡もいるし待ってみよ」
「...うん」
しばらくすると聡が出口から出てきた。が、奈緒の姿が見当たらなかった。尚人と梨奈は聡に駆け寄った。
「おい!奈緒は?」
「は?いんだろ」
聡は後ろを見た。が、奈緒の姿はなかった。
「はぐれたみてェ」
「早く迎え行けよ」
「そのうち出てくんだろ」
「出てこねーよ!!」
「は?」
「奈緒は暗いとこ嫌いなんだよ」
「はぁ?!」
「たぶん1人じゃ歩いて出てこれねーよ」
「んでもっと早く言わねェんだよ!」
聡は慌てて出口へ戻っていった。
「奈緒の性格上言えなかったんだろーけどね=3」
「確かにね。それにしても中で奈緒ほっとくなんて聡冷たくない?」
「不器用なんだよあいつは」
「確かにそんな感じだね」
その頃出口に向かった聡は...。
「お客様困ります。ここからは入れません」
と係りの人に止められていた。
「中ではぐれた人がいるんだって!!」
その時係りの人のイヤホンから連絡が入った。係りの人は
「はぐれた方は女性の方ですか?」
と聡に訊いた。
「あぁ」
「その方なら裏にある救護室に運ばれたみたいですよ」
「!!」
聡は慌ててお化け屋敷の裏にある救護室へ向かった。そんな聡の様子を見ていた尚人と梨奈も聡の後を追って救護室へ向かった。
「奈緒!!」
聡はノックもせず救護室のドアをバンッと開けた。
「!!?」
中にいた係りの人は驚いた。
「あ、あの、今さっきここに女が運ばれたって」
「あー、今そこのベットで横になってるよ」
と言い係りの人はカーテンで仕切られているベットを指差した。
「ありがとうございます」
と係りの人にお礼を言うと、聡は仕切りの中に入っていった。その時コンコンとドアをノックする音がした。係りの人はドアを開けた。そこには尚人と梨奈が立っていた。
「すいません。今ここに男性来ませんでした?」
と尚人は係りの人に訊いた。
「あちらにいますよ」
と、係りの人は仕切られているベットを指差した。
「ありがとうございます」
梨奈はベットの方へ行こうとした。が、尚人が梨奈の腕を掴んで止めた。
「?」
「2人にしてあげよ」
「...うん」
梨奈は頷いた。
「俺たちあの2人の知り合いなんですけど、ここで待たせてもらってもいいですか?」
尚人は係りの人に訊いた。
「どうぞ。そこの椅子に座ってお待ちください」
「ありがとうございます」
尚人はお礼を言って、近くにあった椅子に座った。梨奈も尚人の隣の椅子に座った。その頃仕切られているカーテンの中では...。
「奈緒」
聡は背を向けて横になっている奈緒を優しく呼んだ。
「え!?」
奈緒は聡の声に驚き、慌てて飛び起きた。
「急に起きるなよ。まだ横になってろよ」
「もー大丈夫。だいぶよくなった」
「悪かったな」
「え?」
奈緒は聡をみた。
「置いていって」
「聡...」
「暗いのダメなら入る前に言えよ」
「尚人に聞いたの...?」
「あぁ」
「ごめん...せっかく楽しい雰囲気なのに嫌っていったら悪いかと思って」
「んなの気にすることないだろ。ちゃんとした理由あんだから」
「うん...」
「お前は我慢しすぎな」
「そんなこと...」
「ある」
聡は奈緒の言葉を遮りキッパリと言った。
「もっと周りを頼れよ」
「うん...ありがと」
奈緒はベットから降りた。
「まだ寝てていいぞ」
「ううん。せっかくの遊園地がもったいない」
「......」
聡はジーっと奈緒の顔を見た。
「え??な、何???」
奈緒はじっと見られるのが恥ずかしくなって顔を赤くさせた。
「お前顔赤いぞ」
「さ、聡がじっと見るから」
「それでなんで赤くなんだよ?」
「もー恥ずかしんだって!!」
「ふぅん。ま、顔色は良いみたいだし行くか」
「うん」
2人は仕切りから出た。2人が出てきたことに気づいた梨奈は奈緒に駆け寄った。
「奈緒大丈夫?」
「梨奈。うん。ありがと」
「びっくりしたよ出てこないから」
「驚かしてごめんね」
「ホントだよ」
と言いながら尚人も奈緒の元へ。
「だからあんなに入る前に何回も大丈夫じゃ訊いただろ」
「ごめんって∪」
「ったく、あんま無理すんなよ」
「はーい」
そんなやり取りを聡は黙って見つめていた。そして4人は係りの人にお礼を言い救護室から出て行った。外に出ると辺りは暗くなり始めていた。
「乗れてあと1つだな」
「ごめんね∪私が迷惑かけちゃったから...」
「奈緒のせーじゃねーよ」
尚人は奈緒の頭を軽くポンっと叩いた。
「んじゃ、最後にあれ乗っときますか」
と言い、尚人が指差したのは観覧車だった。4人は観覧車の列に並んだ。
「少し暗くなってきたから上から見るとキレイだろーね」
「ねー。楽しみだよね」
奈緒と梨奈はワクワクしながら順番待ちをしていた。数十分後...。4人の番になった。ゴンドラに尚人が乗り、その後に梨奈が乗った。そして奈緒が乗ろうとしたら聡が奈緒の腕を掴み止めた。
「え?」
奈緒は振り向いて聡を見た。その間にも尚人と梨奈の乗ったゴンドラのドアは閉まった。
「あー!」
奈緒はドアが閉まったのを見て言った。
「お前はこっち」
と言い聡は次のゴンドラに奈緒と一緒に乗り込んだ。
「あれ?皆で乗るんじゃなかったの?」
「話があったんだよ」
聡はそう言って座った。
「話?」
「とりあえず座れ」
「うん...」
奈緒も聡の向かいに座った。しばらくお互い無言の時間が続いた。
(今日聡の様子がなんか変だな......もしかして別れようとか考えてたり...?聡は最初から好きで付き合ったわけじゃないんだし......ありえるよね...)
奈緒は俯き考え込んでしまった。
「...お」
「......」
「...奈緒」
「...」
聡が何回も奈緒を呼んでも奈緒は考え込んでいて気づかない。
「おい奈緒!!」
聡はギュッと奈緒の手を掴んだ。
「え?」
奈緒は驚いて顔を上げた。
「!!」
奈緒の目にはうっすら涙が浮かんでいた。
「お前なんで...」
「...なんでもないよ...」
「お前いつもそれな」
「?」
「そんなに俺頼りねェ?」
「そんなこと!!」
「今の俺がそうさせちまってんだな...」
聡は奈緒の言葉を遮って呟いた。
「聡?」
聡は掴んでいた奈緒の手を離した。聡は決意したように奈緒を見つめた。
「別れよう」
「え?」
「今のまま付き合っててもしょうがねェだろ」
「でも...」
(聡...やっぱり別れる気で...)
「...わかった...今までありがと...」
奈緒は涙をこらえて笑顔で言った。そしてすぐに下を向いた。
(...ちゃんと笑えた...はず...大丈夫...)
「んで...」
「大丈夫!!最初からフリみたいなもんだったしね...」
奈緒は聡の言葉を遮って言った。
(これ以上何か言われたら....涙...我慢できないよ...)
聡はギュッと奈緒の手を握った。
「わかってねェだろ」
「え??」
奈緒はまた顔を上げ聡を見た。
「だから今までの関係は終わりにしてェんだ」
「だから別れるって!」
奈緒は少しヤケになって答えた。
「俺とちゃんと付き合ってほしいいんだ」
「わかったって!!......え??」
奈緒はキョトンとした。
「確かに今まではフリだった。だからその付き合いはやめたいんだ」
「言ってる意味がわかんないよ...?」
「俺は誰とも付き合う気はなかったんだ...お前に付き合えって言ったのは...」
「え?最初からジェットコースター∪」
「やだ?」
「私は別にいいけど」
「私も大丈夫だよ。聡は?」
「俺は別になんでもいいよ」
「んじゃ決まりな。梨奈行こう」
といい尚人は梨奈の手を掴んでジェットコースターの方へ歩いて行った。
(いいな〜梨奈...)
と奈緒は羨ましがっていた。
「俺たちも行くぞ」
「...うん」
聡と奈緒もジェットコースターの方へ歩き出した。そしてジェットコースターの乗り場に着くと...。
「げ∪1時間待ち∪」
「まじかよ∪」
「ど−する?やめる?」
「せっかく来たんだし乗ろ〜ぜ」
と尚人は乗りたそうに言った。
「そうだな。並ぼうぜ」
「そ〜しよう♫」
尚人は嬉しそうに答えた。
(尚人子どもみたいにはしゃいじゃって(笑))
と梨奈は思った。
そして4人は列に並ぶことに。1時間後...。
「や〜っと乗れた〜」
と尚人は嬉しそうに言った。そしてブザーと共に出発した。そして20分後...。
「や、やっと終わった...」
「奈緒大丈夫?」
「ん〜〜」
「ちょっと俺ら座って休憩してんな」
「え!大丈夫だよ!!」
「いいから座ってろ」
聡は奈緒をベンチに座らせた。
「...ごめん」
「俺らなんか飲み物買ってくるよ」
「奈緒飲める?」
「...うん」
「何がいい?」
「私オレンジジュース」
(オレンジジュースって...子どもみたいだな(笑))
と聡は思った。
「んじゃ、俺もオレンジでいいや」
「了解」
尚人と梨奈は売店へ飲み物を買いに行った。
「お前絶叫系苦手だったのか?」
と聡は奈緒に訊いた。
「そんなことないんだけど...」
「体調は?」
「悪くない」
「なんか悩んでんのか?」
「...大丈夫」
(顔に出てるっつの=3何悩んでんだか=3)
「もし何かあんだったら1人で抱え込んでねェで俺に話せよ」
聡は奈緒の頭を優しく撫でた。
「...うん...ありがと... 」
しばらくすると飲み物を買って尚人と梨奈が戻ってきた。
「はい。オレンジジュース」
と言い梨奈は奈緒にオレンジジュースを渡した。
「ん」
「ありがと」
尚人も聡にオレンジジュースを渡した。
「はいよ」
「サンキュ。はいよ」
と言い聡は2人分の飲み物代を尚人に渡した。
「別におごるのに」
「いんだよ。受け取れ」
「はいはい」
尚人は聡からお金を受け取った。
「あ!聡私自分の払うよ」
「いいよ」
「でも...」
「おごられてろよ」
(言ってもダメそうだな...)
奈緒は観念したように
「...わかった。今日はそうする。ありがと」
と聡に言った。しばらくゆっくり休憩した4人はその後もいろんな乗り物に乗った。そしてお化け屋敷に入ることにした4人は...。
「ホントにいいのか?」
と尚人は奈緒に向かって訊いた。
「何が?いいよ」
と奈緒は答えた。
「でもお前...」
「大丈夫!!並ぼう!!」
と尚人の言葉を遮り奈緒が言った。4人は列に並ぶことに。
「お前なんか隠してんの?」
さっきの奈緒と尚人のやり取りを見ていた聡が奈緒に訊いた。
「ううん。なんでもないよ」
「ふぅん」
「なー2人ずつ入ろっか!」
と尚人が提案した。
「え!皆でじゃないの?」
と奈緒が言うと
「尚人だって梨奈と付き合ったばっかで2人になりてェんだろ」
と聡が奈緒の耳元でコソッと言った。
(そっか...せかっくのデートだもんね)
「そーだね!そーしよ!」
と奈緒も賛成し、2人ずつ入ることになった。しばらく並んでいると順番になり先に尚人と梨奈が中に入っていった。
(どーしよ...2人っきり......大丈夫かな...)
と、奈緒は不安になっていた。
「次どうぞ」
と係りの人に言われ聡は歩きだした。が、奈緒が止まったままなのに気づき立ち止まった。
「奈緒」
聡は奈緒に声をかけた。
「え?」
奈緒はビクッとして聡を見た。
「行くぞ」
「あ...うん...」
聡と奈緒も中に入っていった。先に出口から出てきていた尚人と梨奈は...。
「梨奈大丈夫?」
「うん」
「梨奈はお化け屋敷大丈夫なんだ?」
「うん大丈夫。ところではって?」
「奈緒はさ、暗いとこダメなんだよ∪」
「え!?それはお化け屋敷ダメなんじゃないの?大丈夫なの?」
梨奈は心配そうに訊いた。
「ん〜ダメだとお思う∪」
「どーする?もー入っちゃってるよね?」
「とりあえず聡もいるし待ってみよ」
「...うん」
しばらくすると聡が出口から出てきた。が、奈緒の姿が見当たらなかった。尚人と梨奈は聡に駆け寄った。
「おい!奈緒は?」
「は?いんだろ」
聡は後ろを見た。が、奈緒の姿はなかった。
「はぐれたみてェ」
「早く迎え行けよ」
「そのうち出てくんだろ」
「出てこねーよ!!」
「は?」
「奈緒は暗いとこ嫌いなんだよ」
「はぁ?!」
「たぶん1人じゃ歩いて出てこれねーよ」
「んでもっと早く言わねェんだよ!」
聡は慌てて出口へ戻っていった。
「奈緒の性格上言えなかったんだろーけどね=3」
「確かにね。それにしても中で奈緒ほっとくなんて聡冷たくない?」
「不器用なんだよあいつは」
「確かにそんな感じだね」
その頃出口に向かった聡は...。
「お客様困ります。ここからは入れません」
と係りの人に止められていた。
「中ではぐれた人がいるんだって!!」
その時係りの人のイヤホンから連絡が入った。係りの人は
「はぐれた方は女性の方ですか?」
と聡に訊いた。
「あぁ」
「その方なら裏にある救護室に運ばれたみたいですよ」
「!!」
聡は慌ててお化け屋敷の裏にある救護室へ向かった。そんな聡の様子を見ていた尚人と梨奈も聡の後を追って救護室へ向かった。
「奈緒!!」
聡はノックもせず救護室のドアをバンッと開けた。
「!!?」
中にいた係りの人は驚いた。
「あ、あの、今さっきここに女が運ばれたって」
「あー、今そこのベットで横になってるよ」
と言い係りの人はカーテンで仕切られているベットを指差した。
「ありがとうございます」
と係りの人にお礼を言うと、聡は仕切りの中に入っていった。その時コンコンとドアをノックする音がした。係りの人はドアを開けた。そこには尚人と梨奈が立っていた。
「すいません。今ここに男性来ませんでした?」
と尚人は係りの人に訊いた。
「あちらにいますよ」
と、係りの人は仕切られているベットを指差した。
「ありがとうございます」
梨奈はベットの方へ行こうとした。が、尚人が梨奈の腕を掴んで止めた。
「?」
「2人にしてあげよ」
「...うん」
梨奈は頷いた。
「俺たちあの2人の知り合いなんですけど、ここで待たせてもらってもいいですか?」
尚人は係りの人に訊いた。
「どうぞ。そこの椅子に座ってお待ちください」
「ありがとうございます」
尚人はお礼を言って、近くにあった椅子に座った。梨奈も尚人の隣の椅子に座った。その頃仕切られているカーテンの中では...。
「奈緒」
聡は背を向けて横になっている奈緒を優しく呼んだ。
「え!?」
奈緒は聡の声に驚き、慌てて飛び起きた。
「急に起きるなよ。まだ横になってろよ」
「もー大丈夫。だいぶよくなった」
「悪かったな」
「え?」
奈緒は聡をみた。
「置いていって」
「聡...」
「暗いのダメなら入る前に言えよ」
「尚人に聞いたの...?」
「あぁ」
「ごめん...せっかく楽しい雰囲気なのに嫌っていったら悪いかと思って」
「んなの気にすることないだろ。ちゃんとした理由あんだから」
「うん...」
「お前は我慢しすぎな」
「そんなこと...」
「ある」
聡は奈緒の言葉を遮りキッパリと言った。
「もっと周りを頼れよ」
「うん...ありがと」
奈緒はベットから降りた。
「まだ寝てていいぞ」
「ううん。せっかくの遊園地がもったいない」
「......」
聡はジーっと奈緒の顔を見た。
「え??な、何???」
奈緒はじっと見られるのが恥ずかしくなって顔を赤くさせた。
「お前顔赤いぞ」
「さ、聡がじっと見るから」
「それでなんで赤くなんだよ?」
「もー恥ずかしんだって!!」
「ふぅん。ま、顔色は良いみたいだし行くか」
「うん」
2人は仕切りから出た。2人が出てきたことに気づいた梨奈は奈緒に駆け寄った。
「奈緒大丈夫?」
「梨奈。うん。ありがと」
「びっくりしたよ出てこないから」
「驚かしてごめんね」
「ホントだよ」
と言いながら尚人も奈緒の元へ。
「だからあんなに入る前に何回も大丈夫じゃ訊いただろ」
「ごめんって∪」
「ったく、あんま無理すんなよ」
「はーい」
そんなやり取りを聡は黙って見つめていた。そして4人は係りの人にお礼を言い救護室から出て行った。外に出ると辺りは暗くなり始めていた。
「乗れてあと1つだな」
「ごめんね∪私が迷惑かけちゃったから...」
「奈緒のせーじゃねーよ」
尚人は奈緒の頭を軽くポンっと叩いた。
「んじゃ、最後にあれ乗っときますか」
と言い、尚人が指差したのは観覧車だった。4人は観覧車の列に並んだ。
「少し暗くなってきたから上から見るとキレイだろーね」
「ねー。楽しみだよね」
奈緒と梨奈はワクワクしながら順番待ちをしていた。数十分後...。4人の番になった。ゴンドラに尚人が乗り、その後に梨奈が乗った。そして奈緒が乗ろうとしたら聡が奈緒の腕を掴み止めた。
「え?」
奈緒は振り向いて聡を見た。その間にも尚人と梨奈の乗ったゴンドラのドアは閉まった。
「あー!」
奈緒はドアが閉まったのを見て言った。
「お前はこっち」
と言い聡は次のゴンドラに奈緒と一緒に乗り込んだ。
「あれ?皆で乗るんじゃなかったの?」
「話があったんだよ」
聡はそう言って座った。
「話?」
「とりあえず座れ」
「うん...」
奈緒も聡の向かいに座った。しばらくお互い無言の時間が続いた。
(今日聡の様子がなんか変だな......もしかして別れようとか考えてたり...?聡は最初から好きで付き合ったわけじゃないんだし......ありえるよね...)
奈緒は俯き考え込んでしまった。
「...お」
「......」
「...奈緒」
「...」
聡が何回も奈緒を呼んでも奈緒は考え込んでいて気づかない。
「おい奈緒!!」
聡はギュッと奈緒の手を掴んだ。
「え?」
奈緒は驚いて顔を上げた。
「!!」
奈緒の目にはうっすら涙が浮かんでいた。
「お前なんで...」
「...なんでもないよ...」
「お前いつもそれな」
「?」
「そんなに俺頼りねェ?」
「そんなこと!!」
「今の俺がそうさせちまってんだな...」
聡は奈緒の言葉を遮って呟いた。
「聡?」
聡は掴んでいた奈緒の手を離した。聡は決意したように奈緒を見つめた。
「別れよう」
「え?」
「今のまま付き合っててもしょうがねェだろ」
「でも...」
(聡...やっぱり別れる気で...)
「...わかった...今までありがと...」
奈緒は涙をこらえて笑顔で言った。そしてすぐに下を向いた。
(...ちゃんと笑えた...はず...大丈夫...)
「んで...」
「大丈夫!!最初からフリみたいなもんだったしね...」
奈緒は聡の言葉を遮って言った。
(これ以上何か言われたら....涙...我慢できないよ...)
聡はギュッと奈緒の手を握った。
「わかってねェだろ」
「え??」
奈緒はまた顔を上げ聡を見た。
「だから今までの関係は終わりにしてェんだ」
「だから別れるって!」
奈緒は少しヤケになって答えた。
「俺とちゃんと付き合ってほしいいんだ」
「わかったって!!......え??」
奈緒はキョトンとした。
「確かに今まではフリだった。だからその付き合いはやめたいんだ」
「言ってる意味がわかんないよ...?」
「俺は誰とも付き合う気はなかったんだ...お前に付き合えって言ったのは...」
