「え?な、何?」
奈緒はわけがわからなっかった。
「お前危ねェよ!!」
「え?何が?」
「前」
「?」
奈緒は顔を上げ前を見た。すると信号が赤に変わっていた。
「あ!」
「ったく=∃ちゃんと前見て歩けよ」
「ご、ごめん...」
(聡...私が赤で渡らないように止めてくれたんだ...ホントは優しいんじゃない?)
「お前危なっかしいから後ろじゃなくて俺の横か前歩け」
「え?」
「俺の視界に入るとこ歩けって言ってんだよ」
(何を考え込んでんのか知んねェけど、こいつ目離すとけっこー危ねェな)
「じゃぁ横歩く」
と、奈緒は少し嬉しそうに答えた。
「おう」
信号が青に代わり2人は並んで歩き出した。
「聡」
「ん?」
聡は奈緒の方を見た。
「ありがと」
と奈緒は笑顔で聡にお礼を言った。
「!!」
そんな奈緒の笑顔を見た聡はドキッとしていた。
(やべェ...こいつの笑った顔嫌いじゃねェかも...)
「おう。今度は気をつけろよ」
と聡は照れながら言った。
「うん」
2人は並んで歩き出した。しばらく歩いていくと奈緒の家の前に着いた。
「送ってくれてありがと」
「ん。じゃぁな」
と言い聡は歩き出した。
「また明日ね」
奈緒は歩き始めた聡の背中に向かって言った。聡は片手を上げてヒラヒラさせた。
(やっぱり優しいじゃん)
と奈緒は思った。

ーーーーー次の日(4月9日)ーーーーーー
今日も午前中授業が終わり放課後...。裏庭では...。奈緒が昨日下駄箱にいた女の子達に囲まれていた。
(何で私この人達に囲まれなきゃいけないわけ?)
「用事って何?」
「あんた吉川君と付き合ってるってホント?」
「そーだよ」
「嘘なんじゃないの?」
「は?昨日も聡が言ってたでしょ」
「だから信じらんんないんだって!!」
「何がよ?」
「あんた達あんま仲良さそうに見えないんだよね〜」
「付き合ったばっかだからね」
「でも、吉川君全然あんたの事好きって感じしないよね〜」
「し、知らないよ」
「図星って顔だね」
「愛されてないんだ〜」
「そ、そんな事...」
「ないって言えんの?」
「...」
「言えないんだ〜」
「やっぱあんたが吉川君にとりいってんじゃないの?」
「え?そんな事しないよ」
「じゃー何であんたなんかと付き合うのよ?」
「...わからない」
「吉川君を脅してるとか?」
「そんな事しないよ!!」
「んじゃーなんなのよ!!」
「そんなの本人に聞けばいーでしょ!」
「聞けるわけないでしょ!!」
「何で?」
「...」
「ぶりっ子がバレるから?」
「!!?」
「そんなの本当の好きじゃないんじゃない?」
「何ですって!!」
「上っ面の付き合いしてったってしょーがないでしょ」
「あんたね〜」
「なんでもいーけどあんた吉川君と別れなさいよ」
女の子達はキッと奈緒を睨んだ。
「それを決めるのはあなた達じゃないじゃやない」
「吉川君はみんなのものなんだからね」
奈緒もキッと女の子達を睨んだ。その頃教室では...。
「あれ?奈緒の奴どこ行ったか知らねェ?」
「さっきなんか女子達に連れられて裏庭の方に行くの見たぞ」
「女子達?」
「ほら、よくお前の周りうろちょろしてる」
「早く言えよ」
聡は慌てて裏庭へ行った。数分後裏庭に着いた聡は何やら声がするのに気づき木の陰にそっと隠れた。そしてチラッと声のする方を見ると...。そこには奈緒と数人の女の子達がいた。
(ったく=∃何囲まれてんだよ=∃)
聡は助けに入ろうと一歩踏み出すと
「ものじゃない!!!」
と奈緒の怒鳴り声がした。聡は出て行かず様子を見る事にした。
「は?」
「聡はものじゃない!!」
「何わけわかんない事言ってんの〜?」
「一人の人間なの!!」
「そんなのわかってるし」
「わかってない!!」
「なんなの〜?」
「ものとか言わないで!!」
「なに言っちゃってんのこいつ(笑)」
「ちょー笑える(笑)」
「ね〜そんな事よりさ〜、吉川君と早いとこ別れてくんない?」
「やだ!!」
「は?」
「別れない!!」
「別れろよ#」
「いや!!」
「調子のってんじゃねーよ#」
1人の女の子が手を振り上げた。そして奈緒の顔にむけて手を振り下ろした。奈緒は叩かれるのを覚悟して目をつぶった。
「......」
「?」
(あれ?痛くない?)
奈緒は恐る恐る目を開けた。
「!!?」
すると目の前には女の子の手を掴んだ聡がいた。
「え?聡?」
「教室にいねェと思ったらこんなとこにいたのかよ」
「何で?」
「一緒に帰ろうと思って探してたんだよ」
聡は女の子の手をパッと放した。
「え〜帰るんなら私たちと帰ろうよ〜」
と女の子達の態度が急変し、猫なで声を出し始めた。
「そうそう。こんな子ほっといていーじゃん」
「俺は自分の彼女迎えに来ただけだから」
「え〜でも、この子吉川君と別れるって言ってたよ」
「え!?そんな事言ってな...」
「そーそー。別れたいって相談のってたんだよ」
と、女の子が奈緒の言葉を遮った。
「ふぅん...奈緒がね...」
聡は奈緒をチラッと見た。
「私...」
「そーゆう事だし早く行こう」
と、女の子が再び奈緒の言葉を遮った。
「だな。早く帰るぞ」
と言い、聡は奈緒の手を握った。
「なっ!?」
女の子達は聡の行動に驚いていた。
「え?」
奈緒は驚いて聡を見た。聡も奈緒を見て
「迎えに来たって言っただろ。帰るぞ」
と言い女の子達に背を向けた。
「ちょっと吉川君!!」
「私達が言ってた事聞いてた?」
1人の女の子が聡を引き止めようと聡の腕を掴んだ。聡は振り向き女の子達をギロッと睨んだ。
「放せ」
聡の腕を掴んでいた女の子はビクッとし聡の腕を放した。
「お前ら今度奈緒にちょっかい出したらただじゃすまねェからな」
女の子達は聡の迫力に恐怖を感じその場に固まってしまった。聡はそのまま奈緒の手を引っ張り教室の方へ歩いて行った。
「ちょ、さ、聡?」
奈緒は立ち止まった。奈緒の手を握っていた聡も引っ張られるようにして歩みを止めた。そして聡は振り返り奈緒を見た。
「なんだよ?」
「...ありがと」
「ん?」
「助けてくれてありがと」
「ま、お前ちっさいからあいつらに敵わなそうだもんな(笑)」
「なっ!せっかくちょっとは見直したのに!」
「はいはい!早く帰るぞ」
聡はスタスタ歩き出した。
「もー!待ってよ!」
奈緒は聡を小走りで追いかけた。
(ホントは俺の方がお礼言わなきゃいけねェな....ちゃんと1人の人間としてみてくれありがとな...奈緒...)
聡は心の中でそっと奈緒にお礼を言った。

ーーーーー次の日(4月10日)ーーーーー
今日は学校がお休み。
「...♬」
朝から奈緒のケータイが鳴っていた。
「はーいはい」
と言いながら、奈緒はケータイの通話ボタンを押した。
「もしもし?」
「おう」
「?」
奈緒はケータイの画面を見た。そこには知らない番号が表示されていた。
「誰ですか?」
「聡」
「え?」
「だから聡」
「な、何で?」
「用あったから」
「じゃなくて」
「は?」
「番号何で知ってんの?」
「あぁ、尚人に聞いた。」
「そ、そーなんだ」
「んな事より、お前今日暇?」
「何?急に?」
「いいから暇か?」
「特に予定はないけど...?」
「んじゃ、これから遊園地行くから準備してろ」
「そんな急に...」
奈緒が反論しようとするとケータイからは
「プー...プー...」
と機械音がした。
「きれてるし=∃」
(何なのよ急に?遊園地?聡が?遊園地って柄じゃなくない?しかもこれってデート?......っといけない、とりあえず準備しとこう)
奈緒はとりあえず出かける支度をした。数十分後...。ピンポーン...ピンポーン...。とチャイムがなった。
「はーい」
奈緒はドアを開けた。そこには聡と尚人が立っていた。
「え?尚人?」
「よー」
「あれ?」
「ん?」
「尚人もいたんだ...」
「聡に聞いてない?」
「うん∪」
「おい」
尚人は聡の方を見た。
「お前奈緒に何の説明もしてねーの?」
「あぁ」
「あぁじゃねーし∪ちゃんと言っとけよ」
「そのうちわかんだろ」
「いや...奈緒お前が思ってるより鈍いから∪」
「ちょっと!!鈍いってなにさ!!私は鈍くないよ!!」
「なんでもいいけど、早く行こうぜ」
聡は歩きだした。
「おい聡」
尚人は聡を追いかけた。
「もー何なのさ!!」
「奈緒も早く来いよーー!!」
と、尚人は奈緒を呼んだ。
「待ってよ!!」
奈緒は訳がわからないまま聡と尚人の後を追った。そして30分後...。電車に乗り遊園地に着いた。
「券買ってくっからお前ここで待ってろよ」
「あ!俺のもついでに買ってきて」
尚人は聡にお金を渡した。
「待って私も」
奈緒は鞄から財布を出した。
「いらねェ」
聡は券売機の方へ歩き出した。
「ちょっと待って!!」
奈緒は聡を追いかけようとした。その時
「奈緒待った」
尚人が奈緒の腕を掴んだ。
「え?」
奈緒は振り向き尚人を見た。
「ここは聡におごってもらいなって」
「でも悪いよ」
「たまには彼氏に甘えなって」
「彼氏...」
「聡と付き合ってんだよね?」
「...うん」
「ん?ケンカ中?」
「ううん。大丈夫」
「聡と付き合えたのに嬉しくないの?」
「え?」
「聡のこと好きだったんでしょ?」
「え?尚人知ってたの?」
「奈緒顔にすぐ出るから(笑)」
「そんなこと」
「あるんだよ。で、なに悩んでんの?」
「悩んでないよ。大丈夫」
(そんな顔して悩んでないって言われてもな...おもいっきり顔にでてんのに)
「ならいんだけど、なんかあったら言えよ」
「うん。ありがと」
しばらくしてチケットを買った聡が戻ってきた。
「ん」
と言い聡は奈緒にチケットを渡した。
「ありがと」
「どういたしまして。ん、尚人」
聡は尚人に2枚チケットを渡した。
「え?何で尚人2枚?」
「えーっと...」
「?」
その時
「遅くなってごめーん」
と、女の子が走ってきた。
「え?」
奈緒は女の子の顔を見て驚いた。
「え!梨奈(りな)!?」
走ってやって来た女の子は奈緒の友達の石原梨奈(いしはら りな)だった。
「ご、ごめん遅くなって∪」
「走んなくてもよかったのに」
「皆いるの見えたから」
「電車が遅れたんだから気にすんなよ」
「聡もごめんね」
「え?ちょ、ちょっと待って」
と1人現状についていけていない奈緒が声をかけた。
「何で梨奈が?」
「え?」
「聡に聞いてねーの?」
「え?何を?」
奈緒は聡を見た。
「何も訊かれてねェし」
「いや、言わなきゃわかんねーだろ∪」
「お前らから言えばいいだろ」
「もー!!だからなんなの!!」
「えーっと...梨奈と俺付き合うことになったんだ」
と尚人は照れくさそうに言った。
「え?」
「だから、梨奈と俺が付き合ってんの!」
「尚人が梨奈と?」
「そー」
「ホント?」
奈緒は梨奈に訊いた。
「うん」
梨奈は恥ずかしそうに首を縦に振った。
「そーなの!!よかったね!おめでと」
「言うの遅くなっちゃってごめんね」
「ううん大丈夫。へー尚人と梨奈がね〜」
「なんだよ」
「お似合いだなって」
「まーな」
「ありがと」
「尚人!梨奈泣かせたら許さないから!!」
「泣かすかよ」
「はいはい。それより聡は何で知ってたの?尚人に聞いたの?」
「たまたま一緒にいたとこ見かけて、問いただした」
「そ、そーなんだ∪」
「そ。問いただされた時にちょうど梨奈もいて紹介もしたってこと」
「そっか。てか、今日は梨奈も一緒ってことだよね」
「うん」
「やった」
と奈緒は喜んだ。
「楽しもうね」
と梨奈も嬉しそうに言った。そして4人は遊園地の中に入っていった。
「んで?何乗るの?」
「やっぱあれでしょ!!」