碧、好きな人いるんだ...。
なんだろう。すごく胸が痛いや。なんでこんなにもやもやするの?
碧の好きな人って誰だろう...。
ずっと一緒に居たのに、わかんないよ。
どうしてこんなに苦しいんだろう。
私にとって碧なんなんだろう…。
「楓心も、好きなヤツいんだろ?」
私の、好きな人…?
「私、恋愛とかしたことないから、わかんないや。」
あはは。と苦笑いして気持ちを落ち着かせる。
恋って、どんな感じなのかな。
碧にも好きな人居たんだ。
なんだろう。この涙が出そうな感じ。
碧の好きな人って誰なんだろう…。

放課後、部活に行くために隣の席の碧にばいばい。って言って別れてから廊下を歩いてた。
「ちょっといいかしら?」
「はい…?」
この人は…確か隣のクラスの柊さん?
私になんの用だろう。
「あなた、宇佐野楓心さんよね?」
「はい…。」
「碧くんとはどんな関係なの?」
「ただの幼なじみです…。」
「じゃあ、ただの幼なじみなら碧くんに近寄らないでもらえる?邪魔なのよね。あなた地味だし。碧くんと全然釣り合ってない。それに私、碧くんのことが好きだし。」
ズキン。
この人、碧のことが好きなんだ。
ズキン。ズキン。
なんだろう。すごく泣きそう。胸が痛いよ。苦しいよ。
ポタっ。
気づくと私は泣いていた。何も言えず、ただ俯いていた。

「おい。」

聞き慣れた、太くて男らしい声。
ふと、その声に顔を上げる。
碧だった。
「なんだよ。今の。」
「碧く…ん!?」
「楓心が地味だから俺に近づくなってなんだよ!楓心は地味なんかじゃねぇよ!」
碧…。
私はボロボロ泣いていた。嬉し涙で。
そんなふうに言ってくれる碧が嬉しかった。
「行くぞ。」
そう碧が言うと、ふわっと浮き上がる感覚があり、いつの間にかお姫様抱っこをされていた。
「碧…歩けるよ。」
「顔、見られたくないだろ。」
うっ…。確かに泣き顔は見られたくない。
私は碧の胸に顔を埋めた。
心臓がドキドキしてる。なんでだろう。
顔も熱いし、すごく苦しい。
私、どうしちゃったんだろう。
「ごめんね。部活、怒られちゃうよね。」
「楓心をほっとけない。」
ドキドキしてる。碧にこういうこと言われると嬉しいし苦しくなる。
私達は体育館裏に座ってちょっと落ち着こうとしていた。
「あんなの、気にすんじゃねぇぞ。」
「うん…。ありがと。」
「俺、楓心のこと、地味なんて思ったことねぇから。」
嬉しい。どうしよう。すごく嬉しい。
さっきから、私、おかしいな。
碧にドキドキするし、苦しくなるし…。

もしかして、これが「恋」なのかな?