10話

私達はそっと屋上に向かった。
もー3時間目くらいかな。
「横座って」
私はちょこんと中山の隣に座った。
「けいこ会長、俺けいこ会長のこと避けてた。ごめん
あの日覚えてるか?俺勝手に怒ってさけいこ会長のこと傷つけたから。
だから喋りかけない方がいいと思った。でもさやっぱり喋りてーよ」
ドキッ…ドキッ
え…。嬉しかった。私と同じこと思ってる。その瞬間もやもやが一気になくなったような気がした。
私こんなキャラじゃないけど私も言わなきゃいけないよね。
「私も、中山と…話したい。」
やっぱり駄目。恥ずかしい。
私は下を向いた。
「何それ…けいこ会長照れるんだけど。」
かぁぁぁぁ…多分私も顔が真っ赤。
「う、うるさいなー」
「あ、戻ってる。笑
俺はさっきの会長も好きだったんだけどなー?」
な!!好きなんてそーゆー紛らわしいこと言わないでよね…
「あ、そーいえば今日のけいこ会長可愛いよ。毎日可愛いけどな。
眼鏡ないけいこ会長も俺はいいな」
かぁぁぁぁぁぁぁぁ。
中山はなんでそんな恥ずかしいことをスラスラと言えるんだろー。
羨ましいよ。
私だって本当は、喋れて嬉しい
とか言えるといいな
でもどうして、『喋りたい』って思うの。このドキッってなるのは何?
でも今は中山が隣にいるだけで、もやもやが消えたよ。
「も、もう!戻るよ。今は数学でしょ。中山苦手じゃん!だから頑張らないと!」
私は立ち上がった。
「え~もーちょっといいじゃんか。」
駄目だ。話したいとかそう言う気持ちもあるけど今は駄目。会長モード
「なら中山、数学教えてあげませんから」
私はそのまま後ろを向いて歩いていった。
中山は『それは、勘弁っす』とかいってついて来た。
でも先生になんて言い訳しよかな
もう無理だよね。
でも、今は中山とまた話せただけで嬉しい…
教室前までやってきた私。
うーん。
「俺に任せとけ」
と言ってガラッとドアを開けた。
あ、皆こっち見てるじゃん。
「先生~けいこ会長に勉強教えてもらおうと思って家押しかけましたー。そしたら、遅れちって。
こいつ関係ないで。許してやって。」
ドキッ
そんな嘘ついてくれて、私がなんていようか迷ってたの分かってたのかな。
それから私達は先生に怒られずに授業を受けることが出来た。
でも大好きな数学だったのにドキドキしていた。
前の中山の背中を見ながら。