「担任の山里です。よろしく」
担任の山里が、挨拶をした。
話を聞いていると、私の後ろの席の子が話しかけてきた。
「はじめまして!私、白石彩(しらいしさやか)っていうの!よかったら仲良くしよ!」
彼女は、黒髪のボブで明るそうな子だった。
「はじめまして!私、椎名優音!こちらこそ仲良くしよう!」
「優音て呼んでいい?」
「うん、もちろん!私も彩って呼ぶね!」
彩と話してるうちに意気投合し、私達はすごくいい友達になれた。
「ねえねえ、優音が仲良さそうなあの男の子って、もしかして…彼氏?」
彩が興奮気味で聞いてきた。
…私の仲がいい男の子…?
「もしかして、朔哉!?そんなわけないよ!ないないない!」
「動揺してるじゃん、優音」
ニヤニヤしながら彩が言ってくる。
「いや!ほんとに…ないから!」
「ふーん。じゃあ、優音は立花くんのことが好きなの?」
「ええ!?」
彩の言葉に思わず私は椅子から落ちてしまった。
「ちょっと!大丈夫!?」
心配して駆け寄る彩の横に何者かの人影が現れた。
「大丈夫?お嬢さん。俺に掴まんな」
…え?
私が顔をあげるとそこにいたのは、朝のチャラ男。天堂将生だった。
「あ、ありがとう…」
私は素直にお礼を言い、立ち上がった。
「おい、お前はいっつも危なっかしいんだから。大丈夫かよ。」
そうやって話しかけてきたのは朔哉。
「あれ?お前…」
将生が驚いた顔をして、声を出した。
すると、朔哉まで驚いた顔をした。
「お前…将生?」
「朔哉なのか?久しぶりじゃねえか。」
将生が話しかけると、朔哉はいきなり不機嫌になり、
「優音、帰るぞ。」と、言った。
「え!?あ、うん!でも…いいの?天堂くん」
「お前に関係ない」
「え…でも。」
「いいから帰るぞ!」
「わかったよ…彩!ばいばい!」

私は朔哉に手を引っ張られ、駐車場までやってきた。
「ちょっと!そんな怒ってどうしたの?」
「…」
朔哉は無言のままだった。