∞1208∞

「相変わらず嘘下手ですね。どうしたんですか?」


「なんもないって。
仕事のこと。…着替えるから出てって。」


彼は何も言わない。
優しいから、面倒だから。

ふと思う。
大人の最終兵器はズルイ。

『仕事』、之を出されたら相手の二の句はもう無くなってしまう。


パタン、と彼のかわりに返事をするドアは甘い香りと共にあたしを閉じ込めた。

拷問に極めて近い。
香りに裏腹、女一人生きていくのは

「甘くねー」